日本経営士会中部支部

2020-03-10

上善は水のごとし(老子)

2020/0/0配信


「中国古典から学ぶ経営 No.3」

今回は「老子」からの言葉です。


上善は水のごとし(老子)

◆ 老子とは

「老子」は、中国春秋時代の思想家です。

いわゆる「道教」の始祖ですが、実在の人物かどうかは研究が分かれています。

同時代の人物とされる孔子に比較される事も多く、「無為自然」という考え方が代表的です。

道教は、中国でも日本でもその文化に大きな影響を与え、生活の中に溶け込んでいる要素も多くあります。

◆ 言葉の意味

この言葉は、「水のように生きれば、理想の生き方が出来る」という意味です。

つまり、「水」から三つのことを学ぶと良いと説かれています。


一つは水の「柔軟性」です。

器の形によってその形を変えて、少しも逆らいません。

自然体ですね。


二つ目は、水から「謙虚さ」学べということです。

水は高いところから低いところに流れます。

低い位置というのは人が嫌がるところだけれど、水はそれを気にしない、ということです。


三つ目は、ものすごいエネルギーを秘めている点です。

水には岩をも砕く力があります。

「エネルギー」を内に秘めて生きよ、ということです。


そして、そうした生き方を「上善」、もっとも理想的だと言っています。

水のように生きるのは、なかなかのことですね。

◆ 経営に活かす

これは、経営のあり方といってもいいでしょう。

時代の流れを知り、柔軟に対応していくのが経営です。

また、経営者は謙虚でなくてはいけません。

傲慢になって業績を落とした企業はいくらでもあります。

そして、組織はいつも力をみなぎらせていることが必要です。

好調な時には一気呵成に進み、不調な時は力を蓄えます。

その力の使い方が重要です。

簡単ではありませんが、「水」のような経営をしたいものですね。

編集後記

「老子」のなかに「曲なれば、則ち全し」という言葉があります。

曲がっているからこそ、生命を全うできるということです。

老子は、直線的な生き方より、曲線的な生き方を好みました。

あえて曲がっていることを受け入れながら、強く生きることだと言っているのかもしれません。

これも恐らく「水」を意識しているのでしょう。

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