日本経営士会中部支部

2020-03-17

一枚のカードで社員のやる気をあげる

2020/3/17配信


「コンサルの現場 No.4」

社員のやる気をあげるのに苦心している経営者も多いです。

お互いのコミュニケーションがうまく取れないことが原因かもしれません。

今回は、ある方法を使って社員のやる気をあげられた事例です。

いったい、どんな方法を使ったのでしょうか。


一枚のカードで社員のやる気をあげる

◆ 業績回復の相談

その会社から相談があったとき、業績は赤字でした。

当然、「どうしたら業績が回復するか?」という相談です。

私は決算書を見ながら、赤字になった原因を探っていきます。

比較的容易に対策は見つかりました。

商品戦略と販売戦略の見直しをしよう、ということになります。

◆ 違う問題

ところが、経営者と話を進めていくうちに、もっと違った問題が見えてきました。

どうも、社員のモチベーションが低いようです。

戦略を実行する人たちのやる気がなければ、うまく進んでいきません。


観察をしてみると、社員間のコミュニケーションがうまく取れていないようでした。

そこで、戦略の実行の前に、皆さんに今までとは違ったことに挑戦していただくことにしました。


それが「サンキューカード」です。

◆ サンキューカード投入

社員同士が、名刺大のカードに「ありがとう」と書いて渡し合います。

「○○さん、商品整理を手伝ってくれてありがとう。△△より」

のように。


カードを貰った人は、事務所内の「サンキューカードボックス」に投函します。

そして、一ヶ月後にカードを一番多く貰った人と一番多く書いた人を皆の前で表彰する、という仕掛けです。

目的は、社員同士が感謝をし合う習慣を作り、活気のある職場にすることです。

◆ 一ヶ月後

ところが、最初のうちは、誰もカードを書こうとしません。

当たり前です。


そこで、経営者が積極的に「サンキューカード」を書くようにしました。

すると、徐々に書き始める人が現れます。

「ボックス」にカードが増えていきました。


ボックスのカードは誰でも見られますので、皆さんカードのことが気になって仕方がありません。

一ヶ月後、何とボックスにはカードがあふれるほどになりました。

その後もサンキューカードを続けます。

すると、どんどん社員の皆さんが明るくなって行くのが分かります。

社員同士、お互いのことを気遣うようにもなりました。


あきらかに元気な職場になったのです。

◆ 一年後

その結果、一年後、会社の業績は回復しました。

もちろん、サンキューカードだけで回復したわけではありません。

売上や利益を上げるための具体的な手もうちました。

しかし、サンキューカードでモチベーションが上がったことが、その後の実行につながったのではないでしょうか。


見えないところの原因を探ると問題解決に近付くということでしょうか。

編集後記

決算書は財務的な原因を教えてくれますが、「ヒト」のことは教えてくれません。

ここをしっかりと見るのも経営コンサルタントの役目です。

理論だけで解決するわけではありませんので、ちょっとした簡単なノウハウをストックしておくと、活用出来ます。

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