日本経営士会中部支部

2023-01-31

環境マネジメントシステムを活かす

2023/1/31配信


「続・コンサルの現場 No.24」

環境マネジメントシステムの問題点やその活かし方についてです。


環境マネジメントシステムを活かす

◆ ISOマネジメントシステム導入が減少している

皆さんご存じのISOは、JAB(日本適合性認定協会)によると、国内のISOのマネジメントシステム導入件数は、2006年をピークに、2015年には8万件あったものが2020年には約7.3万件に減少しており、現在も減少傾向です。

この中でも特に認証件数の多いISO9001(QMS品質)やISO14001(EMS環境)の影響が大きく17%も減少しています。

◆ そもそもISOとは

ISOはInternational Organization for Standardizationの略であり、スイスのジュネーブに本部をおく「国際標準化機構」のことです。

国際的な標準である「国際規格」を策定しています。

ネジのサイズ、カメラの感度、非常口のマーク、カードのサイズ、紙のサイズなど様々な国際取引においてモノの基準を定めているのです。


また、

ISO9001(品質)
ISO14001(環境)
ISO45001(労働安全衛生)
ISO22000(食品安全)
ISO27001(情報セキュリティ)

などのマネジメントシステムの規格を定めています。


これらのマネジメントシステムは、企業や組織がその組織活動を行う上で必要な方針や目標を定め、その目標達成に向けて必要な工程や方法を管理するための仕組みのことです。

そこにISOとして要求規格事項(守るべき事柄)があり、それに対応していれば認証されます。

ISOの環境マネジメントシステムは、企業や組織が環境リスクの低減や地球環境へ配慮することを重点とし、それを管理していくものです。その代表にISO14001があります。

◆ 環境マネジメントシステムの必要性

環境マネジメントシステムは、国際標準化機構により充分検討されているシステムです。

世界的には国際的取引や投資家(ESG投資)の条件となっています。

つまり国際的には充分に認められているのですが、前掲のデータのように日本では認証件数が減少傾向なのです。


私は機会あるごとにISO14001等の環境マネジメントシステムを導入している企業や組織の人にその導入実施状況を質問してみるのですが、そのほとんどの人は、「環境マネジメントシステムを導入していることは知っているが、直接担当していないからよくわからない」と答えが返ってきます。

このISO14001は、企業や組織全体で捉え、部署毎でも記録を残したり、内部監査等を行い、PDCAにより是正や改善策を構築していくはずのものです。

にもかかわらず、ISO14001の担当者任せになっていると感じています。

◆ なぜ環境マネジメントシステム減少の理由

なぜ環境マネジメントシステム減少し浸透していないか、


その理由は3つあります。

①経営者がマネジメントシステムを理解していない。
 (親会社や関係企業との取引条件の必要性のみで導入している。)

②マネジメントシステムの維持費がかかり過ぎる。
 (そのため、費用対効果が薄いと判断している。)

③マネジメント担当者だけでの仕事になっており負担が大きい。
 (全社で取り組んでいない。)


この3つについて、大企業であれば資金や人材が確保できますが、大方の中小企業にはその力が有りません。

ある企業では、上記①のように取引条件の必要性を無くし、マネジメントシステムを廃止してしまいました。

それに代わる取引先との対応を監査などで行っているのですが、その結果、取引先に振り回され、かえって社内の混乱を招いています。

結局これは、経営者がマネジメントシステムを理解していないと言うことが、最大の原因なのです。

経営者の皆様には、マネジメントシステムを再度見直し、理解していただくよう求めたく思います。

編集後記

日本経営士会は、エコステージ協会の評価機関として、環境マネジメントシステム「エコステージ」の導入を支援しています。
エコステージシステムは年に1回の評価だけでなく、それぞれの企業に合った中間コンサルティングをする手法を取り入れたものです。

お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。


(文責:経営士 三品富義)

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