SDGsを活用する
2021/12/7配信
「続・コンサルの現場 No.3」
中小企業において今話題のSDGsを検討するというお話です。
毎日、新聞に掲載されているSDGsは大企業が先行し、導入されていますが中小企業にはどのように対応していけばよいのでしょうか。
SDGsを活用する
◆ SDGsとは
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のことで、持続可能で実現可能な社会を目指すという、国連サミット加盟国により2015年に合意した2030年達成をめざす17目標、169ターゲットです。
このSDGsは大企業が行うものであり、中小企業には関係がないと言う方もいますが、SはSustainable の事業継続、DはDevelopmentの開発、そしてGsはGoalsの目標です。
このことは、実は、企業は事業継続をするために新しいチャレンジや改善などをしつつ、目標(つまりゴールを決めて)を経営計画に落とし込んでいることで、既にSDGsを実行していることになっているのです。
何もこれは、大企業であろうとなかろうと企業であれば当然なことなのです。
◆ SDGsのメリット
このSDGsは、何か新しいことを始めるということで手間がかかりそう、生産性にも影響が出そう、特にメリットがなさそうと考えている経営者もいらっしゃいます。
それは、SDGsに関われば利益がでるとか、社会で優遇されるという結果が、あまり中小企業においては現れていないと思っておられるからです。
しかしSDGsの17目標を一つ一つみますと、
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人間や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさを守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
これらは、企業が継続していくのに、多かれ少なかれ配慮していかねばならない内容になっています。
例えば、
4.の教育については、企業は従業員教育が必要ですね。
8.の働きがいは、それを従業員にもたらせられれば会社が活性化しますよね。
9.の産業と技術革新の基盤をつくろうは、企業には開発や改善が必要です。
12.のつくる責任は、仕事のムダな時間やロスを減らしたいですよね。
13.の気候変動については、カーボンニュートラルの検討が必要。
17.のパートナーシップでの目標達成は、そのための従業員全員での取り組みや、ステークホルダーとのコラボレーションが必要ですよね。
このように、SDGsの17目標は、企業が事業継続していかねばならない項目であり、これに取組んでいけば、企業の課題の解決にも結び付き、企業全体の価値も上がります。
更に、自社のホームページなどで取組みを紹介することにより、外部にも発信でき、取引先の評価も上がるのです。
そして、良い人材を求める手段としても、SDGsを導入している企業としてPRすれば、リクルート関係に良い影響が出てきます。
◆ SDGsを会社全体で取り組む
経営者がSDGsに取り組んでいくといっても、会社全体で取り組んでいかなければ意味がありません。
経営者も役職者も正社員も非正規社員も、会社全部を巻き込むのです。
具体的には、全員参加のSDGs小グループ(5~6人位)をつくり、まずこの17目標を理解し、それぞれのグループで自分たちに何ができるのかを検討します。
少人数ですから話がし易く、日頃意見が出ない人からも共通の話題として意見が出易くなり、会社全体で取り組むという効果が出てきます。
そして、この各小グループ内にて責任者を決め、その責任者が集まり、会社全体のSDGs検討会にて検討をします。
その検討事項を自社のSDGs重点項目としてまとめ、会社の経営計画書に反映、実行し、PDCAを回していくのです。
マネジメントシステムを既に導入している会社であれば、直ぐに活用できます。
但し、ここの重要ポイントは、会社全体で取り組むことが肝になるのです。
幹部だけが取り組んでいるのでは「17.のパートナーシップで目標達成しよう」で言う、本来のSDGs取組みとはなりません。
是非、貴社にてこのSDGsにトライしていただき、事業継続に結び付けていただきたく思います。
編集後記
中小企業の経営者にお伺いすると、従業員が思うように動かない、経費が掛かり過ぎで利益が出ない、生産性も低い、人材教育が難しいというお話があります。
SDGsは2030年の国連の目標ではありますが、企業としてこのSDGsを上手く活用するチャンスと捉えていただければ良いのです。
しかし、SDGsは2030年までの目標なのですが、企業はそれ以後も事業継続していかねばなりません。
このSDGsを機に、事業継続していくPDCAを回すマネジメントシステムを活用されることをお勧めいたします。
(文責:経営士 三品富義)