環境マネジメントシステムを企業経営に活かす
2022/9/6配信
「続・コンサルの現場 No.17」
ある会社が解散に追い込まれた話です。
そうならないために必要な、マネジメントシステムの導入とその構築についてお伝えします。
環境マネジメントシステムを企業経営に活かす
◆ N社の解散
青天の霹靂でした。
2002年末、希望退職者募集。
2003年6月、第2次希望退職者募集。
2004年3月、第3次希望退職者募集。
N社のことです。
そして2004年4月、幹部が某ホテルに召集され、幹部の端くれであった私も呼び出され参加しました。
何と突然、2004年9月末でもって当N社は解散すると、社長より発表があったのです。
1959年設立の写真フィルム現像所として、45年間続いた会社が解散に至ってしまいました。
時流は、写真がデジタルに変化し、カメラがなくても携帯で撮れる時代に移行したのにもかかわらず、N社はそれに対し方向転換できなかったことが原因です。
その一方で、N社が写真フィルムの原材料を仕入れていたF社は、現在も優秀な企業として上場しています。
N社とF社とでは、何が違うのでしょうか。経営力が違うと言えばそれまでですが、その違いは、F社がいかに早く時流の変化を読み取っていたかにあります。
その上、早くよりISO9001やISO14001のマネジメントシステムを導入し、PDCAを経営に取込み実施してきたことが、サステナビリティ(事業継続)に繋がっていたかと思うのです。
一方、解散廃業したN社は、写真フィルムが無くなるわけがないとか、デジタルは写真フィルムには勝てないとか、携帯が普及し始めても何もせず、時流に反抗し、対応も方針もなく、危機感がありませんでした。
◆ マネジメントシステムの導入を
N社は、大企業と中小企業との差があるものの、時流を読み、マネジメントシステムを導入し、経営とリンクさえしていれば廃業に追い込まれなかったはずです。
企業はもはや経営者が末端までの指示や、状況を把握することは困難な状況になっています。
マネジメントシステムを導入し、経営目標を達成できる仕組みやルールを作り、継続的改善(PDCA)によるサステナブルな経営をしていかねばなりません。
◆ マネジメントシステムの形骸化
しかし、このマネジメントシステムを導入しても、成果が出ない、重荷になり経営に役立っていないという声を時々聞きます。
その企業は、一部の担当者がマネジメントシステム認証取得のためだけの書類作成とその対応をしており、経営計画や経営戦略とリンクしていないという実態があるのです。
そして経営者は、マネジメントシステムの認証さえ取得していれば対外的に対応していけると思っています。
これは、マネジメントシステム導入時のコンサルタントが、先ず形から入ろうと取組ませ、そのフォーマット例が改善されず、そのままとなっているからです。
経営者や担当者もマネジメントシステムの理解不足により、このような結果となってしまっています。
更に、従業員も、マネジメントシステムは、一部の担当者の役目として捉え、本来全従業員で取組むべきところ、誤った見方をしているようです。
◆ マネジメントシステムを見直す
現在、品質や環境などのマネジメントシステムを導入している経営者の方は、もしそれが経営計画や経営戦略とリンクがされていなければ、直ぐにでも見直しをする必要があるかと思います。
この場合、システム再構築のためのコンサルティングを依頼するとよいでしょう。
経営マネジメントシステムの再構築により、費用対効果のあるマネジメントシステムに して行かれればと思います。
尚、世の中の現在の時流は、SDGs、CN(カーボンニュートラル)、CSR、ESGなど環境経営に関する内容が多く含まれており、環境マネジメントシステムの構築や導入を経営にリンクさせるべきです。
将来、N社のように廃業に追い込まれないためにもマネジメントシステムに取組み、企業経営に活かされることを願っています。
編集後記
日本経営士会 中部支部は、環境マネジメントシステムの「エコステージ」を活用し、中小企業の経営活動を支援しています。
お気軽にお問合せ下さい。
京セラ創業者の稲盛和夫様がお亡くなりになられました。
第二電電の旗揚げ、日本航空のアメーバ経営による再建など貢献され、素晴らしい方でした。
ご冥福をお祈りいたします。
(文責:経営士 三品富義)