社員が辞めてしまう理由
2023/2/28配信
「儲かる会社になるヒント No.25」
テーマは「社員が辞めてしまう理由」です。
大企業も中小企業も、人の採用には苦労をしています。
大企業は優秀な人材の取り合いです。中小企業は、そもそも人集めが出来ません。
しかも、そのうえ社員が辞めてしまえば大変です。
社員が辞めてしまう理由
◆ 経営者の嘆き
「社員が辞めてしまう」と悩んでいる中小企業の経営者にお会いしました。
「どうして辞めてしまうのだろう」と嘆き節です。
経営者にその社員が辞めてしまう理由を聞いてみました。
「給料もそこそこ出しているし、待遇は悪くないと思うのだが・・・」
「何か別の理由があるのではないですか?」
「はっきりとは言わないけれど、どうも上司との折り合いが悪かったみたいだ」。
上司に責任があると思っているようです。
実は、筆者もかつて、部下が会社を辞めてしまうという経験を何度もしました。
どうして部下が辞めてしまうのでしょう。しかも、期待をして目をかけていた部下です。
◆ 原因は上司?
辞める理由は、上司である私にあったのかもしれません。
部下からすれば、私は実に鼻持ちならない上司でした。
「仕事ができる」とうぬぼれ、「私の考えに間違いはない」と思い込んでいます。
部下は喜んでついてくると思っていました。なんとひどい上司でしょう。
部下が辞めた理由の一部には、それもあったでしょう。
とはいえ、優秀な部下ですから、それだけの理由で会社を辞めたりはしません。
上司の考え方ややり方以上に、会社そのものの方向性に不満があったのが、本当の理由でしょう。
では、先の中小企業の場合はどうでしょうか。
上司と折り合いが悪かったのが、本当の辞める理由だったのでしょうか。
この会社の経営者は、大変優秀な方です。自分の腕で業績を伸ばしてきたと、自信満々です。
しかし、もしかしたら社員が辞める原因は、かつての筆者の部下の場合と同じかもしれません。
つまり、原因は上司ではなく、経営者の考え方や振る舞いにあるのかもしれないのです。
◆ 社員が辞めないために
その一方で、「良い社員が入ってこない」と嘆いておられる経営者がいます。
「良い社員」とはどんな人でしょう。聞いてみました。
・人柄が良くて、周りの人に信頼をされる人
・仕事の呑み込みが早くて、任せられる人
・リーダーシップがあり、経営者の補佐が出来る人
要は即戦力で模範になるような社員です。
あなたはどう思いますか? 今までそんな社員が入ってきたことはありますか?
いかにもこの経営者は高望みしすぎです。そこで、どうしてそんな社員が欲しいのか尋ねました。
「人を育てる余裕がないからだ」とのこと。分からないでもありません。
しかし、はっきりと言っておきます。
そんな優秀な人は中小零細企業には、まず来ないと思っておいた方が良いです。
ですから、経営者の仕事は今いる社員を育てることにあります。
時間をかけて、会社の役に立つ人間に成長させることです。
その覚悟がなくては、経営者はつとまりません。
このことは、「社員がどうして辞めてしまうのか」と嘆いている経営者と問題が同じです。
経営者が周りから信頼されていれば、社員はやめません。
そして、入った社員は自然と育っていきます。
つまり、問題の根本は、経営者自身の考え方や行動にあるのです。
今いる社員を育てることが出来ない経営者が、「社員が辞めてしまう」とか「良い社員が来ない」と嘆くのは違っています。
社員が辞めてしまう理由を、もう一度真剣に考えられてはいかがでしょう。
編集後記
今は以前と違って、転職のハードルが高くありません。
ですから、若い人たちは簡単に転職していきます。それだけに、社員を育てるのは難しいです。
この会社で働き続けたいと思える存在であって欲しいと思います。
(文責:経営士 梅本泰則)