本質的な問題
2023/5/2配信
「儲かる会社になるヒント No.28」
テーマは「本質的な問題」です。
経営者が、会社のために良かれと思ってやっていることを、社員が分かってくれないこともあります。
それは、社員が悪いのでしょうか、それとも自分自身のせいなのでしょうか。
本質的な問題
◆ そんなに外に出ないで
経営者というのは難しいものです。
将来のことも考えなければなりませんし、目の前のことにも対処しなければなりません。
この2つのことは、矛盾を生じることもあります。
それでも、経営者は乗り越えて進んでいくしかありません。
例えば、こんな事例があります。
頑張っているのに、なかなか業績が上向かない会社の経営者から、こう言われました。
「社員から、そんなに外にばかり出かけるなと責められています」
この経営者は、仕入先や販売先との交渉にちょくちょく出かけます。
展示会があれば、商品を見に行かなくてはなりません。
商工会や組合の集まりに顔を出すこともあります。
将来のために外に出る機会は多いのです。
とはいえ、この経営者は、会社を留守にするのを最低限度にとどめています。
ですから、「数えてみても、そんなに責められるほどの回数ではない」とのこと。
◆ 問題の本質
そして、「会社のために外に出かけているのに、どうして分かってくれないのだろう」と嘆かれます。
分かりました。経営者は、社員が自分のことを分かってくれないのが不満なのです。
しかし、それは違います。この経営者は問題の本質が分かっていません。
問題の本質は、社員の皆さんが今の業績に「不安」を抱えていることです。
ですから、経営者に一刻も早く会社の現状を救ってほしいと切望しています。
心の中で、早く適切な一手を打ってくれと叫んでいるのです。
「外に出るな」というのは、そのことを言っています。
つまり、今この経営者がやるべきことは、社員に理解を求めることではなく、
早く有効な手を打つことなのです。
お分かりでしょうか。この会社の場合、決して「外出」が本質的な問題ではありません。
結果として売上を回復できていないことが、本当の問題なのです。
それが出来ない以上、社員の不安や不満はなくならないでしょう。
◆ 手を打つ
どんなに立派なマーケティング策を実行しようと、成果が出なければ意味がありません。
商売の本質は、お客様に必要なものを、適正な価格で売って喜んでいただくことです。
ここは、経営者としての踏ん張りどころでしょう。
「すぐに業績が回復する手を打ってほしい」という社員の皆さんの声が聞こえてきます。
そして、その手に正解があるわけではありません。
いくつかの手を考えて、優先順位を決めて実行していくことです。
そのためには、取引先の力を借りることも必要でしょう。
また、社員の皆さんに有効な手を一緒に考えてほしいと、頭を下げることも必要かもしれません。
経営者として歯を食いしばって頑張るしかありません。
経営者は、将来のことを考えて戦略を練ることも必要です。
しかし、それだけでは目の前に起こる問題を解決できません。
将来のことと目の前のことを同時に考える必要があります。
ここが難しいところです。
ただし、言えることは、目の前の問題を解決することが将来につながっていく、ということです。
いずれにしても、目の前に起こっている問題は、経営者の頭を悩ませます。
そのためには、問題の本質を考えながら克服していきましょう。
編集後記
会社の将来を真剣に考える社員は、どれくらいいるでしょうか。
社員は、目の前に起こることに関心があります。
自分の生活に関わる事ならば、なおさらです。
そのためにも、経営者は有効な手を打たなければなりません。
(文責:経営士 梅本泰則)