企業の不正行為の原因を紐解く
2023/5/16配信
「続・コンサルの現場 No.29」
企業の不正行為が発生している原因を紐解きます。
企業の不正行為の原因を紐解く
◆ 企業の不正行為が発生している
ここ最近、不正行為による出荷停止が、めだってきています。
特に大手や老舗企業と言われる企業が起こしているのが気がかりです。
最近では、次のような例があります。
フォークリフトの排出ガス試験の不正、自動車ドアの側面衝突試験の不正、
大浴場の湯の交換頻度の不正、旅館の雇用調整助成金取得の不正・・・などです。
どれもこれも呆れた内容で信じられない内容かと思います。
その都度、社長や会長などが謝罪会見に迫られ、企業としても大恥、大損です。
これは、ひょっとすると企業存続が危ぶまれる状態にもなりかねません。
◆ 小さなことから不正につながる可能性
ボルトを製造している会社を定期監査訪問した際、現場でフォークリフトが何台か動いていましたが、時々シートベルトをしていない人がいました。
シートベルトをせずに運転し、事故につながるケースがあるのを知らないだろうか。
しかも、他の従業員は、誰もそれを注意している様子がありません。
筆者は、従業員にその理由を聞いてみたところ、僅かな時間(いわゆるちょい乗り)だから面倒とのことでした。
シートベルトをするのに何秒もかかるわけでもなく、事故になってからでは遅いし大変になることをお伝えしました。
こんな小さなルールを管理者が見逃していると、やがて大きな不正につながるかと危惧する次第でした。
◆ 不正行為の原因
これらの不正が発生する原因は、一体、何でしょうか。
企業はどうしても効率良く、収益を出さなければならない使命があります。
同時に、ルールを守る使命もあるのです。
このルールを守らず、収益を優先すると不正につながる可能性があります。
これは、企業の体質や風土が原因とも言えるのです。
ハインリッヒの法則(※)のように、その企業に小さな不正がいくつもある場合、それをトップが見逃す体質や風土があるとやがて重大な不正になっていきます。
人間はそもそも面倒なことは、手を抜きたがるものです。
ここで企業は、ルールを守るべく管理が必要となります。
これ位は大目に見ておこうかと思う前に、それは企業として大丈夫なのかと考えることの出来る管理体制を構築することが重要なのです。
更に企業は、手抜きが生じる原因を検討し、「改善」につなげていく必要があるかと思います。
「ハインリッヒの法則」(※)
1つの重大不正の背後には、重大不正にならなかった29の軽微な不正があり、さらにその背後には、300の不正にならなかった(ヒヤリハット)があるというものです。
編集後記
面倒なことはついつい手を抜きたくなります。
その面倒なことは、なぜ面倒なのかを分析する必要があるのです。
作業プロセスで、その面倒なことを省くと問題が発生することがよくあります。
しかし、その面倒なことを企業内で検討する機会をつくってください。
企業活動では、常に改善する思考と意見交換が必要なのです。
(文責:経営士 三品富義)