交通事故防止から企業課題をみる
2023/8/8配信
「続・コンサルの現場 No.33」
企業活動における交通事故防止について総務部の対応のお話です。
交通事故防止から企業課題をみる
◆ T社の交通事故が減らない
T社はプラスチックの射出成型にて自動車部品を製造している会社です。
年々業績もアップし、事業拡大とともに従業員の数も増え、その営業をする人や部品を運搬する人が増えつつありました。
その反面、総務部は、自動車交通事故が減らないと悩んでいました。
最近の車は以前に比べ、随分と事故を起こさない性能となっていますが、それでも人が運転している限り、限界があるのです。
交通事故が発生しますと、怪我の状態の確認、警察への届け、保険会社への連絡など、日常業務が中断してしまい、何も良いことがありません。
総務部として、交通事故が発生しないようにしていかねばならないのです。
◆ 交通事故が発生する原因
T社の総務部では交通事故が発生すると、その原因を調べ、今後発生しないように対策をいたします。
自動車交通事故には、小さな物損から、希に人身事故になる場合もあるのです。
その原因は、人による不注意がほとんどだと言えます。
事故を起こした人は、反省として「今後十分注意します」で終わっている場合が多くあるのです。
たしかに人の不注意なのですが、その不注意になっているさらなる原因があります。
ここを、総務部として究明する必要があります。
◆ 不注意の発端原因を究明
総務部は、交通事故を起こした営業マンと原因究明のために面談しました。
その結果、その営業マンは、事故を起こした日、上司より目標が未達成とお叱りを受けており、精神的ストレスに追い込まれていることが分かったのです。
また、部品を運搬する運転手が事故を起こした場合では、部品の納期に迫られていたため、急いで納品先へ向かい、あせって運転していたことがわかりました。
このような時にヒューマンエラーが発生するのです。
さらなるその原因を究明する必要があります。
なぜ、営業マンは目標が未達成になっていたのか?なぜ、部品の納期が遅れていたのか?など原因を調べる必要があるのです。
要するに、事故を起こした発端の原因は、T社における企業全体の管理体制に課題があることがわかります。
交通事故の発生には人的要因やシステム的要因が関与しており、これらは企業の管理体制によってコントロールできるものです。
自動車の交通事故の発生する原因の発端を究明しないと、いつまで経ってもT社の交通事故は、減少致しません。
編集後記
事故の発生には原因があります。今回のように真の原因は概ね、企業の管理体制にあります。
総務部はこのことを把握し、経営者に報告し、企業のリスクの軽減や安全性を確保する役割を果たす必要があります。
(文責:経営士 三品富義)