小人の学は耳より入りて口より出ず(荀子)
2020/6/2配信
「中国古典から学ぶ経営 No.7」
今回は「荀子」からの言葉です。
小人の学は耳より入りて口より出ず(荀子)
◆ 荀子
「荀子」の言葉です。
荀子は、中国戦国時代末の儒学者です。
孟子の性善説に対して、性悪説を説きました。
とはいってもどちらも高名な儒学者ですので、考えの根本は同じです。
◆ 言葉の意味
この言葉は「口耳(こうじ)の学」として有名ですね。
意味は、「聞きかじったことを他人に受け売りするだけでは、本当に自分の身につかない」
ということです。
しっかりと自分で考え、学んだことを自分のものにすることにこそ、「学び」の意味がある、と唱えています。
荀子は、この言葉に続けてこう言っています。
「むかしの人は自分のために学問に励んだが、
今の人は他人のために学問をしている。
つまり、君子は学問によって自分を向上させるが、
小人は学問によって自分を売り物にしている。
問われてもいないのにしゃべる、これをオシャベリという。
一を問われて二まで答える、これをオセッカイという。
どちらもよくない。
君子とは、打たねば響かぬが、打てば響くものなのだ」
世の中には、「小人」がいっぱいいますね。
ちなみに「小人」とは、つまらない人とか、出来の悪い人という意味です。
◆ 経営に活かす
経営者にとって、「学ぶ」ことはとても重要なことです。
そして、学ぶ方法はいろいろとあります。
書物からも学べます。人からも学べます。セミナーからも学べます。
さらには、周りの出来事からも学べます。
いずれにしても、その学びを自分のものにしなくてはなりません。
そのためには、学んだことを人に教えることです。
例えば、社員教育などの場で講師になることで、学んだことが自分の中に定着していきます。
さらには、学んだことを実践していくことです。
学びが自分のものになります。
「口耳の学」ではなく、正しく学びたいものですね。
編集後記
荀子の言葉から、何だか西郷隆盛のことを思い浮かべてしまいます。
坂本竜馬によれば、西郷隆盛は「小さく打てば小さく響き、大きく打てば大きく響く」人のようでした。
彼は君子だったのですね。