「情報」のトリセツ
2024/11/19配信
「実践経営講座 No.52」
「情報」についての考察です。
「情報」のトリセツ
◆ 情報は編集されている
情報に惑わされるな、情報の分析精度を上げろ、情報の共有が必要だ …。
ビジネスシーンでよく使われる「情報」という言葉。
情報とは何か。
「情報とは、データに意味と目的を加えたものである」 P・F・ドラッカー
「情報には、『コード情報』と『モード情報』がある」 金子郁容
意味と目的は、意図とも言い換えられます。
コード情報は、0と1のデジタルのように定量化できる認知系の情報。
モード情報は、感情、雰囲気、トレンドなどに制約される情動系の情報です。
2人の言葉から情報は、数値など定量的なデータ(コード)と発信者の定性的な意図(モード)が、ワンセットとなり構成されていることが分かります。
また、情報とは、データやファクト(事実)などのコードを、発信者の意図するモードで包んだものとの解釈もできそうです。
そのため情報を受信する場合、データやファクトだけでなく、発信者の意図の背景も意識する必要があります。
情報を分析するとは、データの集計や処理だけではなく、発信者の背後の状況を読み解き、実体を客観的に捉えることです。
「権力の番人、人権の擁護者」を自認する新聞社や放送社などのマスコミは、政権や人権に関する事柄に重きを置き、それぞれが意図する文脈で、記事やニュースを編集しがちです。
事実の断片を意図的な文脈で繋ぎ合わせ、実体とかけ離れた虚構が伝搬することは、よくあることです。
記事やニュースから情報を得ようとすれば、マスコミそれぞれのスタンスや編集方針も踏まえて、読み解く必要があります。
情報は、データやファクトの選択から文脈まで、発信された時点で偏向、編集されている。
この認識を持つことが、情報を分析する際の前提です。
◆ 情報の分析と収集目的
情報分析の手順は、まずコード情報(データ・ファクト)とモード情報(発信者の意図)に分けてみることです。
そのうえで、情報の文脈を把握します。
- 発信者が誰か(主体)
- どのような環境から(状況)
- 何を(対象)
- どの立場、位置で(視点)
- どう捉えたのか(言葉・イメージ)
情報の文脈をつかむことで、発信者の意図の背景が理解でき、客観的に起きていることの実体を描き出せます。
自身が情報発信者となる場合も、文脈を意識することで、情報の意図が受信者に伝わりやすくなるものです。
ドラッガーは、『経営論』で「情報とは、データに意味と目的を加えたものである」の後に、「データを意味に転換するには知識が必要である」とも記しています。
文脈は、データやファクトを意味に転換したり、解読するための知識の一つです。
情報を集める目的は、何らかの判断、意思決定が必要な時に、不確実性を減らすことです。
何かを確かめたい。何かを作りたい、始めたい。判断の不確定要素を無くしたい。
不確実性を減らすには、情報収集の目的が何かを意識しておくことも重要です。
情報に惑わされず、不確実性を減らすには、「それは、あなたの主観でしょ?」との問いで、 情報と一旦、距離置くことも効果的です。
編集後記
それは1次情報なのか、2次情報なのか、1次情報の発信元にあたり裏を取る。
かつてメディアの世界では当たり前だったことが、今やマスコミでも情報源はインターネットという時代。
これからのビジネスパーソンには、1次情報に意味と目的を加え、文脈にする力が求められることでしょう。
このコラムも 「それは、あなたの主観でしょ?」と問いかけ、読んでいただければと思います。
(文責:経営士 江口敬一)