経営理念は会社の土台
2020/6/30配信
「コンサルの現場 No.9」
企業の経営戦略には、短期と長期のものがあります。
短期戦略は目の前の問題を解決するのに必要です。
ですから、往々にして経営者は短期の問題解決に興味を示します。
しかし、その一方で長期の問題解決も重要です。
そのためにはどうしたらいいでしょうか。
経営理念は会社の土台
◆ 企業への問題解決法の提案
売上や利益をあげるための何をしたらよいか、という質問に答えるのはコンサルタントにとってそれほど難しいことではありません。
その手元には、いろいろな具体的な解決法のストックがあるからです。
簡単にいえば、「誰に」「何を」「どうやって」売るかという解決法です。
その中から企業にマッチした具体策を提案し、実行していただきます。
もちろん、企業によって問題は違いますので、提案は企業ごとに違います。
すると、たいていの場合数か月で効果が出ます。
◆ 根本的な解決法
しかし、この方法は本当の意味での解決法ではありません。
いわゆる対処療法というものです。
根本的な解決方法は、別にあります。
その根本的な解決方法とは、「経営理念を作る」ことです。
ほとんどの中小企業は、経営理念というものを作ってはいません。
ですから、戦略に一貫性が無い場合も多いのです。
そこで、コンサルティングが進んできますと、多くの場合「経営理念」を作っていただくことになります。
◆ 経営理念を作る
実は、この作業は決して楽ではありません。
中には、途中で作業をやめてしまう方もいらっしゃいます。
場合によっては、今までの考え方ややり方を否定しなければならないこともあります。
それでも頑張って作ると、企業の方向性が明確になっていくのです。
とはいえ、すぐに出来るわけではありません。
そこで、経営理念を作る前段階として、経営者にこんな質問をします。
- お客様にとって、どんな会社になりたいですか?
- 従業員にとって、どんな会社になりたいですか?
- あなたとあなたの家族にとって、どんな会社になりたいですか?
- 業界にとって、どんな会社になりたいですか?
- 地域にとって、どんな会社になりたいですか?
この質問の答をもとに理念作りが始まっていきますが、しっかりとまとまるまでには、ずい分と時間がかかります。
成果が出るのは、さらに先の話です。
しかし、理念は経営の土台となります。
いったん作ってしまえば、経営がぶれることはありません。
つまり、経営のためには対処療法も必要ですが、理念は経営の土台作りに欠かせないものです。
経営コンサルタントにとっても、重要な作業となります。
編集後記
経営コンサルタントは、限られた期間の中で問題を解決することが求められます。
ですから、理解しやすいように、さまざまなフレームワークを使って提案をするのです。
その過程で「理念」や「ビジョン」の話になれば、しめたものです。
コンサルティング期間が一気に長くなります。
そして、本質的な問題解決に入っていけるのです。