マネジリアル・グリッド理論
2020/7/28配信
「ビジネス理論かんたん解説 No.10」
今回ご紹介するのは「マネジリアル・グリッド理論」です。
マネジリアル・グリッド理論
◆ マネジリアル・グリッド理論とは
組織を動かすには、リーダーシップが必要です。
そこで、どうしたら良いリーダーになれるか、太古の昔より研究がされてきました。
近年もまだまだ続いています。
その内の一つが「マネジリアル・グリッド理論」です。
この理論は、1964年に米国テキサス大学教授のR・ブレークとS・ムートンによって提唱されました。
リーダーシップのタイプを検証して改善することが目標です。
マネジリアル・グリッド理論では、リーダーシップのタイプを
「業績に対する関心度」と「人間に対する関心度」によって測っています。
つまり、
X軸に「業績への関心度」をとり、
Y軸に「人への関心度」をとります。
それぞれの関心の高さを9段階に分けて目盛り、その結果合計81個のグリッド(格子)からなる表が出来ます。
そのグリッドの中で、どの位置に当てはまるリーダーなのかを検証します。
それを大きく5つに分類したのが、次のリーダーのタイプです。
「9・9型」のリーダーは、人間にも業績にも高い関心を持つ「理想的リーダー」。
このリーダーには、仕事への貢献を通じて自己実現を果たしたいという欲求があります。
そのためにはメンバーの能力を最大限に活かすことだと考えています。
「9・1型」のリーダーは、業績には高い関心を示すが人間には関心のない「権力型リーダー」。
このリーダーの考えにあるのは、統制・支配・権力欲です。
メンバーを自分の手足として動かそうとします。
「5・5型」のリーダーは、人間にも業績にもほどほどの関心を示す「常識型リーダー」。
このリーダーは、業績の達成とメンバーへの配慮をバランスよく保てばうまく行くと考えています。
双方の折り合いがつく着地点を模索するのが特徴です。
「1・9型」のリーダーは、人間への関心は高いが業績には無関心な「人情的リーダー」。
このリーダーは、仕事において良好な人間関係を構築することに心血を注ぎます。
他人を喜ばせたいというモチベーションが、その行動原理です。
「1・1型」のリーダーは、人間にも業績にも関心を示さない「放任型リーダー」。
このリーダーは、大過なく仕事を処理することだけを考えています。
職を失いたくない、立場を危うくしたくないというのがモチベーションです。
ここから考えると、理想的なリーダーは、業績にも人間にも関心が高く、人間的魅力も業績も申し分ないリーダーということになります。
ですから、9・9型のリーダーになるには、9・1型のリーダーは、より人間に関心を持つことが必要で、1・9型のリーダーは、より業績に関心を持つことが必要だというわけです。
つまり、マネジリアル・グリッド理論は、自分がどんなリーダーであるかを分析することで、より理想のリーダーに近づけるための理論と言えるでしょう。
編集後記
マネジリアル・グリッド理論に似たような理論に「PM理論」や「SL理論」がありますが、どれも一つの問題があります。
それは、理想的なリーダーと分類されたリーダーが、必ずしも理想的な業績を上げるとは限らないということです。
また、社会環境や時代背景によっても、理想的なリーダーのあり方は変わります。
ですから、リーダーシップ論に終わりはありません。