大道は多岐なるを以て羊を亡(うしな)う(列子)
2020/10/6配信
「中国古典から学ぶ経営 No.13」
今回は「列子」からの言葉です。
大道は多岐なるを以て羊を亡(うしな)う(列子)
◆ 列子とは
「列子」は、中国春秋戦国時代の鄭(てい)の人である列禦寇(れつぎょこう)の撰といわれる道教の思想書です。
皆さんご存知の「朝三暮四」や「疑心暗鬼」という言葉の出典ともなった書ですが、「列子」から出たことを知らない方も多いでしょう。
◆ 言葉の意味
大きな道には分岐点が多いので、逃げた羊の姿を見失ってしまう、という意味です。
「多岐亡羊(たきぼうよう)」とか「亡羊の嘆(たん)」という言葉にもなっています。
人生には大きな目標があった方が良いです。
目標があれば、それに向かって努力します。
しかし、人生には人の心を惑わす分かれ道がたくさんあります。
ですから、ついつい目標とは違うところに迷い込んでしまうこともあるのです。
そうならないためには、常に目標を再確認しなければなりません。
目標を見失わないように気をつけよう、という戒めを説いた言葉です。
◆ 経営に活かす
経営も同じですね。
事業の調子が悪くなって対策を打つ必要があるとき、さまざまな選択肢があります。
その時に重要なのが「目標」です。
どんな企業になりたいのか、どんな役目を果たしたのかという「目標」が明確ならば方向を見失うことはありません。
そのためには、目標を確認し続けることですね。
また、「列子」には「吞舟(どんしゅう)の魚は枝流(しりゅう)に游(およ)がず」という言葉があります。
大きな目標を立てたら、わき道に紛れ込まないよう、しっかりと目標に向かって進めという意味です。
この言葉も目標を立てることの大切さを説いています。
編集後記
「愚公、山を移す」という言葉も「列子」にあります。
愚公という老人が家の前の二つの山が邪魔なので、切り崩し始めました。
他人はその所業を笑ったけれど、愚公は子々孫々に渡って行えば必ず出来る、と言ったという話です。
つまり、長期的な目標をもって進めば成功する、ということを言っています。
いかにも道教的な考え方ですし、現代の中国にもそんな考え方が根付いているような気がします。