事業計画書よりも大事なこと
2020/10/13配信
「コンサルの現場 No.14」
このコロナ禍をチャンスに、起業を考える人もいるでしょう。
しかし、起業の方法がよく分からないという方もいます。
今回は、起業相談の事例です。
事業計画書よりも大事なこと
◆ 事業計画書の作り方を知りたい
コンサルタントのもとには、起業をしたいというご相談が頻繁に寄せられます。
そんな中で、珍しいご相談がありました。
起業に当たって、事業計画書の作り方を教えて欲しい、というものでした。
いきなり事業計画書の作り方を相談に来られる方は珍しいです。
銀行に融資を受けるために必要だと思われたのでしょう。
そして、あるアパレルブランドのネットショップを立ち上げたい、ということでした。
そのとき、私がどのようなお話をしたか、要点を以下にご紹介します。
◆ 大事なことがある
事業計画書を作るのは大変重要なことです。
特に数値計画の立て方知りたいとのご相談ですが、今の段階ではそれよりも先にする大事なことがあります。
まず、次のことを考えてください。
- 何のために起業をするのか。
- どうしてそのブランドなのか。
- どうしてネットショップなのか。
- 将来、どうなりたいのか。
- 社会のためにどんな役に立ちたいのか。
つまり、大切なのはビジネスに対する「想い」や「志」の問題です。
これが、ただ単に「稼ぎたい」とか「儲けたい」ということであれば、起業はしないほうが良いです。
◆ さらに話は続きます
あなたは「このブランドの仕入れさえできれば、すぐにでも開業できる」と考えておられるようです。
もちろん、開業をすることはできます。
しかし、開業後お客様を獲得する方法をお考えでしょうか。
お客様を獲得できなければ、売上ができません。
当然、ネットショップを開設すればすぐに売れるというわけではありません。
同じような商品を扱っているネットショップは、どのくらいあるのでしょうか?
その競合相手に勝つための方法はお考えですか?
何を強みにして販売をして行くのでしょうか。
どんなことをして差別化をして行くのでしょうか。
そのブランドを並べれば、それだけで売れるほど商売は簡単ではありません。
どうか、その点をしっかりとお考えください。
と、まあこのようなお話をしました。
◆ その結果
この方は、私の質問にあやふやな回答しかできませんでした。
事業計画書を作るのにそんな面倒なことを考える必要はない、と考えておられるようでもありました。
1時間ほどお話をした後、「まだ開業したいですか」と尋ねたところ、残念ながら「考え直します」とのこと。
今回のご相談は受けないことになりました。
この方が「どうしても開業したい」と食い下がってきていたら、きっと結果は違っていたでしょう。
編集後記
経営コンサルタントは、ご相談に対して何でもかんでも引き受けるわけではありません。
やはり、相手の方の人柄や熱意や覚悟を見ます。
甘い考えでビジネスを始めようとする方のコンサルティングをしても、うまくは行きません。