知、仁、勇の三者は天下の達徳なり(中庸)
2021/3/23配信
「中国古典から学ぶ経営 No.21」
今回は「中庸」からの言葉です。
知、仁、勇の三者は天下の達徳なり(中庸)
◆ 中庸とは
「中庸」は、中国の四書の一つです。
孔子の孫である「子思」の撰とされています。
Vol.54でご紹介した「大学」が四書の入門編とされているのに対し、「中庸」は四書の中で最後に読むべきものとされているようです。
論語の中に「中庸の徳たるや、それ至るかな」という言葉があります。
まさに「中庸の徳」が最高だということです。
中庸の「中」とは、中間ということではありません。
どちらにも「偏らない」ということです。
つまり、バランスの取れた考え方や行動を指しています。
◆ 言葉の意味
この言葉は、「徳の中でも、とりわけ重要な徳は、知、仁、勇の三つである」という意味です。
「知」とは、深い読みのできる能力、ものごとを適切に処理できる能力のことを言っています。
「仁」とは、相手の気持ちや立場に立って考えること。
いわゆる思いやりですね。
「勇」は、文字通り勇気です。
決断力と言っても良いでしょう。
そして、「達徳」とは徳の中の徳、ということです。
では、「徳」とは何でしょう。
「知、仁、勇」以外の徳にはどんなものが考えられるのでしょう。
誠実、信頼、品格、自信、忍耐、節制、正義、律儀、実行力・・・・
「徳」の定義はむつかしいです。
いわゆる、他人から信頼されたり尊敬されたりすることが「徳」なのかもしれません。
今回の言葉は、深く考えさせられる言葉ですね。
◆ 経営に活かす
この知、仁、勇の備わった経営者やリーダーであれば、きっと事業はうまくいくはずです。
「深い読み」「決断力」が経営者に求められる能力であることは、よく分かります。
そこに「思いやり」が加わることで優れたリーダーシップが発揮されるということなのでしょう。
今まで私が出会った人々の中にも、そんな人が何人かいます。
彼らは、いつも堂々としています。
また、自然に引き付けられていく雰囲気を持っています。
経営にたずさわる人は、そんな人間であって欲しいものですし、そこを目指して欲しいものですね。
きっと、松下幸之助氏などは、そんな経営者だった気がします。
編集後記
「知、仁、勇」とは、良い言葉ですね。
これについて、孔子はこう言っています。
「知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず」。
私の好きな言葉の一つです。