デルファイ法
2021/7/20配信
「ビジネス理論かんたん解説 No.27」
今回ご紹介するのは「デルファイ法」です。
デルファイ法
◆ デルファイ法とは
デルファイ法は、1950年代に米国の研究機関「ランド・コーポレーション」が開発した、未来を予測するための方法です。
テクノロジーの発達予測や景気の動向など、不確定な要素を含んだ事柄に対して答を出したい場合に使われます。
デルファイ法は、元々は米空軍が専門家の意見を集めて、攻撃に必要な原子爆弾の数を推定することから始まったようです。
その後、人口や技術などの未来予測に使われたり、防衛産業や電子産業に採用されてきました。
そして、近年では企業の経営計画やマーケティングにおける調査手法としても活用され、公共政策や社会問題、医療、教育などに関する調査にも利用されています。
◆ デルファイ法の手順
デルファイ法は、専門知識や経験を有する複数の人にアンケート調査を行い、その結果を互いに参照して回答を繰り返し、集団としての意見を収束させていきます。
その大まかな流れは次の通りです。
- アンケートを作成する
- 専門家たちからの回答をもらう
- アンケートの集計をする
- アンケート結果の共有をする
- 再度、専門家たちからアンケートの回答をもらう
- 3~5を繰り返す
- 最終報告を作成する
そして、この手法のポイントは、
- 回答をする専門家を匿名にする
- アンケートの回答は全員に公開すること
- 他の専門家の回答にコメントすることができる
- 自分の回答内容を修正できる
- 同じテーマでのアンケートを複数回繰り返す
ということにあります。
集団で自由な意見を言い合うことによって、正しい回答を導き出していく手法です。
◆ デルファイ法の限界
ただし、デルファイ法には問題もあります。
例えば、
- 専門家の定義や、その選出方法が明確ではない
- アンケートの質問内容が適正かどうか
- 意見を一致させるために、強要や誘導が行われる場合がある
- 意見集約方法に信頼性や妥当性があるか
といったことです。
そもそも、未来の予測ですから、自ずと限界はあります。
そして、デルファイ法は、集団で考えたほうが正しい答えに行き着く、という前提に成り立っている手法です。
しかし、必ずしもそうとは言い切れないこともあります。
ですから、デルファイ法で出された結果を、完全なものとは思わないことです。
一つの指針として受け止めておくのが良いのかもしれません。
編集後記
はたして未来の予測は当たるのでしょうか。
5年先を予測するのも難しい時代です。
10年、20年先の予測ともなれば、困難を極めます。
専門家が集まって検討したものであれば、非専門家が考えるよりは正解に近い可能性は高いです。