疾風に勁草(けいそう)を知る(後漢書)
2021/8/17配信
「中国古典から学ぶ経営 No.28」
今回は「後漢書」からの言葉です。
疾風に勁草(けいそう)を知る(後漢書)
◆ 後漢書とは
後漢書は後漢について書かれた、120巻からなる歴史書です。
本紀10巻、列伝80巻は南北朝時代の南朝宋の政治家・学者、范曄(はんよう)の撰によるもの。
志30巻は西晋の学者、司馬彪(しばひょう)が編集したものです。
中国という国は、歴史を記録しておく仕組みがしっかりとしています。
それが、今でも残されていることも凄いです。
歴史から学ぶという姿勢があるからかもしれません。
なお、後漢の創始者光武帝は、「漢委奴国王」の金印を倭(日本)の奴国の使節に与えた皇帝とされています。
◆ 言葉の意味
「強い風が吹くと、どれが強い草かが分かる」ということです。
風の穏やかな日には、強い草も弱い草も、その区別がつきません。
しかし、ひとたび疾風が吹き荒れると、弱い草は地べたに這いつくばってしまいます。
一方、強い草は叩かれても叩かれても頭をあげてまっすぐに立とうとします。
疾風の吹き荒れる日にこそ、勁草(強い草)の真価が現れるのです。
人間もそれと同じで、困難や逆境に出会ったときにこそ、その人間の真価が発揮されるのだと言っています。
◆ 経営に活かす
経営も同じですね。
ピンチの時には、企業や経営者の真価が問われます。
ちょうど今、世界を揺さぶっているコロナ禍こそ、疾風です。
いかになぎ倒されないようにするか、その準備が出来ている企業こそが生き残っていけます。
その「準備」で一番大事なのは「資金」でしょう。
日頃から財政の強化をしておかなければいけません。
次には「人材」です。
経営者の能力はもとより、優秀な社員を育てる仕組みを持っている会社は、困難に立ち向かうことができます。
もちろん、知識や技術だけでなく、胆力のある人間に育てなくてはなりません。
そして、会社の高い信用力、強いブランド力、優れたマーケティング力も、勁草となる要素です。
これらがあれば、周囲が会社を支援してくれます。
とはいえ、急に勁草になることはありません。
この疾風が企業をふるいにかけていくことでしょう。
編集後記
後漢書には、有名な「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉もでてきます。
日本についての記述もあるようです。
そして、論語にも「風」と「草」にたとえた言葉があります。
「君子の徳は風なり。小人の徳は草なり」です。
どういう意味でしょうか。