マズローの欲求五段階説
2021/8/31配信
「ビジネス理論かんたん解説 No.29」
今回ご紹介するのは「マズローの欲求五段階説」です。
マズローの欲求五段階説
◆ マズローの欲求五段階説とは
これを知らない人はいないでしょう。
アメリカの心理学者、アブラハム・マズローが提唱したモチベーション理論です。
マズローは、人間のやる気の源泉は「欲求」にあると考えました。
そして、人間はさまざまな欲求を満たそうと行動しますが、その欲求は
生理的欲求
↓
安全の欲求
↓
社会的欲求
↓
承認欲求
↓
自己実現欲求
というように低次元の欲求から高次元の欲求へ順に進むとされます。
しかも、低次元の欲求が満たされなければが高次元の欲求が現れることはないとマズローは言っています。
◆ 5つの欲求
そこで、5つの欲求を簡単に説明しましょう。
1.生理的欲求
食べる、休む、眠るなど、生命を維持していくうえで欠くことのできない基本的欲求。
2.安全の欲求
危険や経済的な不安から逃れて、安心して暮らしたいという欲求。
3.社会的欲求
周りの人と親密な関係を築きたい、仲良くしたいという欲求。
さらに、人々から仲間として受け入れられたい、のけ者にされたくないという、集団への帰属欲求。
4.承認欲求
他人から自分の価値を認められたい、尊敬されたいという欲求。
また、自分で立てた目標を達成するなど、自分が自分を承認する欲求。
5.自己実現の欲求
自分自身を存分に活かしたい、人間として自己を充実させたいという欲求。
これらは、現代において、ほとんどの人が持っている欲求ではないでしょうか。
そして、マズローは人間は自己実現に向かって絶えず成長するものだとも言っています。
◆ マーケティングや経営への活用
マズローの五段階説は、マーケティングや経営に応用されています。
例えば、飲食店における顧客心理を五段階に当てはめてみましょう。
- 生理的欲求:おいしいものを食べたい
- 安全の欲求:心地良い空間で過ごしたい
- 社会的欲求:店員から丁重に扱われたい
- 承認欲求:素敵な店で食事をしたことを自慢したい
- 自己実現欲求:自分らしい理想の店や食事を選びたい
といった感じです。
ここから、どの欲求段階に焦点をあてたビジネススタイルにするかという点を考えるヒントになります。
また、経営上の人事施策例を、社員の欲求段階にそって考えてみましょう。
- 生理的欲求:適正水準の労働条件とする
- 安全の欲求:定年延長製やハラスメント規程を設ける
- 社会的欲求:社内グループ活動への支援をする
- 承認欲求:社員表彰制度を設ける
- 自己実現欲求:目標管理制度、自己申告制を実施する
といった感じです。
人間の欲求に応じた施策を打つことで、モチベーションをあげることにもつながります。
欲求五段階説は、この他に自社製品の開発やプロモーション施策などにも応用できるツールです。
編集後記
後年、マズローは6つ目の段階の「自己超越の欲求」を付け加えました。
人間には、自分の外にあるものに対する貢献欲求があります。
例えば、「社会を良くしたい」「世界の貧困問題をなくしたい」といった欲求です。
SDGsなどは、まさに「自己超越の欲求」にあたりますね。