上善は水のごとし(老子)
2020/0/0配信
「中国古典から学ぶ経営 No.3」
今回は「老子」からの言葉です。
上善は水のごとし(老子)
◆ 老子とは
「老子」は、中国春秋時代の思想家です。
いわゆる「道教」の始祖ですが、実在の人物かどうかは研究が分かれています。
同時代の人物とされる孔子に比較される事も多く、「無為自然」という考え方が代表的です。
道教は、中国でも日本でもその文化に大きな影響を与え、生活の中に溶け込んでいる要素も多くあります。
◆ 言葉の意味
この言葉は、「水のように生きれば、理想の生き方が出来る」という意味です。
つまり、「水」から三つのことを学ぶと良いと説かれています。
一つは水の「柔軟性」です。
器の形によってその形を変えて、少しも逆らいません。
自然体ですね。
二つ目は、水から「謙虚さ」学べということです。
水は高いところから低いところに流れます。
低い位置というのは人が嫌がるところだけれど、水はそれを気にしない、ということです。
三つ目は、ものすごいエネルギーを秘めている点です。
水には岩をも砕く力があります。
「エネルギー」を内に秘めて生きよ、ということです。
そして、そうした生き方を「上善」、もっとも理想的だと言っています。
水のように生きるのは、なかなかのことですね。
◆ 経営に活かす
これは、経営のあり方といってもいいでしょう。
時代の流れを知り、柔軟に対応していくのが経営です。
また、経営者は謙虚でなくてはいけません。
傲慢になって業績を落とした企業はいくらでもあります。
そして、組織はいつも力をみなぎらせていることが必要です。
好調な時には一気呵成に進み、不調な時は力を蓄えます。
その力の使い方が重要です。
簡単ではありませんが、「水」のような経営をしたいものですね。
編集後記
「老子」のなかに「曲なれば、則ち全し」という言葉があります。
曲がっているからこそ、生命を全うできるということです。
老子は、直線的な生き方より、曲線的な生き方を好みました。
あえて曲がっていることを受け入れながら、強く生きることだと言っているのかもしれません。
これも恐らく「水」を意識しているのでしょう。