支部研究会「経営診断事例(レストラン編)」
◆支部研究会
テーマ: 経営診断事例(レストラン編)
講 師: 近藤 守邦 経営士・中小企業診断士
開催日: 2024年8月10日(土)
会 場: タワーラウンジ・カシメ(名古屋テレビ塔)
コロナ禍の影響で、未だ経営状況の悪化に苦しむ中小企業が多い中、今回は飲食業に対するコンサルティングの実例を基に、経営診断、課題解決策について講義した。以下は、対象企業を特定できない範囲での経営診断事例の概要である。
K社は、多店舗化への積極的な投資により、事業を拡大してきたレストラン(洋風)を経営する会社である。コロナ禍により売上高が3年間で70%に減少し、営業利益が大きく赤字となったが、コロナ関連支援金等により、経常利益は黒字を確保した。コロナ禍対策として、店舗の業態変更(洋風➡中華風)や事業再構築補助金によるテイクアウト専門店の新設等を実行したが、その効果は限定的でありコロナ融資等による有利子負債が急増した。今年に入り借入金の返済が不可能となり、金融機関から返済を1年間猶予された。
K社が直面する大きな課題は、➀1年後に借入金返済が可能か?(今年度の黒字化が実現出来るか?)②来年度以降も継続して借入金返済が可能か?(継続して黒字経営を実現できるか?)である。当該課題解決のために、現状分析(事業プロセス・経営分析等)に基づき、今年度の業績見込みを数値化し、黒字化へ向けて以下の対策を実行することとなった。
・黒字化対策として、複数の問題店舗の整理と店舗整理に必要な資金を手当する。
・問題店舗の抽出は、成長性と収益性からPPM思考で選択する。
・今年度の業績見込みをベースに中期の成長戦略を検討する。
・中期成長戦略は店舗別に徹底したクロスSWOT分析を行い、施策を実行計画に落とし込む。
・大多数がアルバイト・パートであり、現状の社員の雇用継続を前提に、戦略店舗の売上拡大と徹底した利益管理の強化を図る。
・今年度の見込みと今後3年間の経営改善計画を三位一体(PL、CF、BS)で数値化し、経営目標と実現可能な借入金返済計画を明確化する。
以上、社長の強い意思で作成した経営改善計画を事業目標の柱とし、目標達成のための実行計画を社長の強いリーダーシップで、自社の強みを最大限に発揮し、強力に推進中である。
講義では参加者による検証や意見が活発に交わされ、講義後には懇親会も開かれた。
(記:近藤守邦)