日本経営士会中部支部

2022-08-02

仕組みを考えれば在庫は増えない

2022/8/2配信


「儲かる会社になるヒント No.15」

テーマは「仕組みを考えれば在庫は増えない」です。


製造業にしても、流通業にしても、「在庫」は頭の痛い問題です。

在庫を減らしたり、適正在庫にしたりするための良い方法はあるのでしょうか。

在庫をうまくコントロールすることで、会社の利益が出ます。

そのためのヒントを探ってみましょう。


仕組みを考えれば在庫は増えない

◆ なぜ在庫が増えてしまうのか

経営者から、よくこんな声が聞かれます。

「毎月仕入予算を決めているのに、どうも予算オーバーになってしまう」

「仕入れた商品の1割程度はどうしても売れ残ってしまう」

何か手を打たなければ、在庫は増える一方です。


そこで、どうして会社の在庫が増えてしまうのか、

在庫を減らすにはどうしたらいいかを考えてみましょう。


会社の在庫が増えてしまう要因はいくつかあります。

その一つは、仕入先との納入契約です。

時期になると、発注済み商品がいやおうなしに入荷してきます。

それで、仕入計画や販売計画が狂ってしまうこともあるでしょう。


この場合は仕入れ先と交渉することです。

発注商品をキャンセルしたり、納品時期をずらしてもらうとか。

交渉は楽ではありませんが、在庫を減らすためにはするしかありません。

◆ 仕入担当者、販売スタッフによる在庫増

こうした仕入れ契約も在庫が増える要因ですが、その他にも要因があります。

それは、仕入担当者は商品を仕入れるのが好きだ、ということです。

仕入をするのは気持ちが良いので、ついつい仕入れてしまいます。

これも、仕入予算オーバーになる一因です。


また、それとは別に、販売スタッフからの要求ということがあります。

販売スタッフは、売り逃すという不安から、十分な在庫が欲しいものです。

その分、会社に商品を積んで欲しいと要求します。

これも、在庫が膨らむ原因です。


そして、もう一つ在庫が増える要因があります。

それは、「商品を売り切る仕組みがない」ということです。

あなたの会社では、在庫が増えてしまったときどんな手を売っているでしょうか。


中には、場当たり的に値下げ処分をする会社もあります。

また、膨らんだ在庫をそのままにして、回転率を悪くしている会社もあります。

仕入れた商品は、せめて一年以内には売りきりたいものですね。

そのための方法があります。

◆ 商品を売り切る仕組み

それは、仕入れた商品の何割かは売れ残ることを見込んでおくことです。

そのうえで

  • 最初から、必要以上に値引き販売をしない
  • 処分計画を含んだ売上、利益予算を立てる
  • 一年以上売れていない商品は即刻処分、と決める
  • 段階的値引き処分方法もとる

といったことが、売り切る仕組みとして考えられます。


ですから、処分計画を組み込んだ利益計画を立ててはいかがでしょう。

最初から処分が計画に入っていれば、悩む必要はありません。


そして、一年以内に商品を売り切るためには、同じ商品でも、

先に入荷したものから優先して販売すると良いです。

たとえば、商品が入荷した時に、月ごとに色の違った目印を付けます。

同じ商品なら、古い入荷品から販売するように、徹底させることです。

一年経っても売れていない商品は、強制的に処分販売をしてはどうでしょう。

また、処分をするとき、値引き幅を段階的にすれば一気に処分するよりも利益がとれます。


とはいえ、仕入をコントロールしたり、在庫を処分するのはそれほど簡単ではありません。

それでも、会社の健全な経営のためには必要なことです。

くれぐれも、在庫には厳しい目を向け続けましょう。

編集後記

今回の話は、流通業を想定したものです。

製造業では、在庫管理に厳しい会社が多いので、それぞれ工夫がされているでしょう。

中には、在庫コントロールに苦しんでいる会社もあります。

これも、仕組みの問題かもしれませんし、惰性の問題かもしれません。


(文責:経営士 梅本泰則)

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