日本経営士会中部支部

2020-04-28

素人でもオープン出来た

2020/4/28配信


「コンサルの現場 No.6」

事業を始めたいというご相談も、よく寄せられます。

このご相談が結構難しいことが多いのです。

「熱意」や「思い」はあるのですが、ほとんどの場合「準備」ができていません。

準備の過程で起業をあきらめてしまう方もおられます。

今回は、スポーツ店を開きたいという方からの相談事例です。


素人でもオープン出来た

◆ スポーツ店を開きたい

新しく小売店を立ち上げることは、それほど簡単なことではありません。

毎月のように相談が寄せられますが、ほとんどの方が途中で挫折をします。


そんな中、また一本の電話が入りました。

Aさんという40代の男性からです。

「スポーツ店を開きたいのですが、どうしたらいいでしょう?」

お話を聞いてみると、業界の経験もなく、商売の経験もありません。

ただスポーツが好きだから、という理由です。

よくある話ですね。

資金は何とかなるようです。

◆ コンサル開始

結局、私はその方の熱意に負けてコンサルを引き受けることにしました。

「決して甘くはありませんよ。そして、お店が出せるかどうかはやってみなくては分かりませんよ」と、念を押します。

「それでも良い」ということです。


そこで、まずいつもの手順です。

「何のためにスポーツ店を行うか」

「将来はどうなりたいのか」

を明確にしていただきました。


その次は、簡単な経営計画書作りです。

◆ 仕入先との交渉

問題は商品の仕入れ先の確保です。

メーカーさんや問屋さんに交渉に行かなくてはなりません。


この時のAさんの動きが凄かったです。

積極果敢に仕入先にアタックを続け、私のアドバイス通りの方法で交渉を重ねます。

断られることもありましたが、あきらめません。

しぶとく食い下がって、とうとう2ヶ月後には希望の仕入先と契約が出来てしまいました。

凄いですね。


実は、この時役に立ったのが経営計画書です。

その中には、見込み客への聞き取り調査や、足で稼いだ市場調査がありました。

どんなコンセプトで、どんな差別化をして行くかも書かれています。

それらもとにした販売計画を説明しながら、仕入先と交渉をしたのです。

◆ 4ヶ月でオープン

その時、既に出店予定地との契約が済んでいました。

とにかくやることが早いのです。


仕入先が決まると、早速店舗作りに入ります。

外装は知人に依頼し、内装は全部自分で考え、什器はオリジナルのものを作ってしまいます。

話があってから4ヶ月後、とうとうオープンが出来てしまいました。

私もビックリです。


こんなにうまくいったのは、久しぶりのことです。

本当にAさんの行動力と素直さには頭がさがりました。

私も大いに勉強になった次第です。

「素直さ」と「熱意」と「スピード」が、物事を成し遂げる要素だということがよく分かりますね。

編集後記

事業を始めたいというご相談者に、その本当の理由を聞き出していくと、「今の仕事が面白くないから」という本音に突き当たることがあります。

そうした方には、「今の仕事が面白いと思えるように努力してください」とお勧めするようにしています。

きっとこの相談者が今のまま起業をしても成功しないからです。

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