日本経営士会中部支部

2023-06-27

企業はBCPの構築が必須

2023/6/27配信


「続・コンサルの現場 No.31」

企業がサステナブル経営をしていくために重要なBCP(事業継続計画)の必要性について考えます。


企業はBCPの構築が必須

◆ 社屋が水害と火災でほぼ2年間停滞

 皆様の会社で線状降水帯の豪雨により近くの河川の堤防が決壊し、社屋が水没したならば、その復旧にどれだけ時間がかかるでしょうか?

 更に、1年後、社屋が古く、夜中に雨漏りで電気配線ショートによる火災が発生したならばその復旧対策はどうしますか?

 N社では上記の災害が2年連続、発生したのです。

 なんと不運なことでしょう。


 N社は、最初の水害の復旧に1年間かかり、その復旧期間中にほとんど営業ができませんでした。

 お金と時間の大きな損失です。


 そして、水害対策が完了したと思えば、今度は火災になりました。

 しかも2棟ある社屋の1棟(工場)は全焼で、解体することになったのです。

 その対応として、急遽簡易プレハウスを建て、何とか復旧したのですが、この時も7カ月間、営業がまともにできない状態でした。

◆ BCP(Business Continuity Plan—事業継続計画)の構築が必要

 今回の件は、企業にとって常に災害が発生するリスクがあることを教えています。

 どの企業も水害、火災、地震などのリスクが発生した場合、いかに早く復旧できるか、事前に検討しておくことが今や必須です。

 万一災害が発生した時は、従業員の安全確保が最優先で、そのための避難訓練も必要でしょう。


 これらは、すべてマニュアルを作成したり、簡単な表にしたりして、従業員に対して説明会を行い、全員に徹底させていかなくてはなりません。

 水害や地震などは事前にハザードマップで確認しておくべきですし、火災などは年1回の消防点検や警備の契約などが必要です。


 また、気象庁が公開している「キキクル」では災害発生の危険度が地図上に表示されるため気象情報収集に役立ちます。

 更に、従業員が帰宅困難となった場合の避難場所やトイレ、食料の確保も企業としては準備がいります。

 これらの準備が企業には求められ、このBCP(事業継続計画)の構築が必須なのです。

◆ 災害対策プロジェクトチームにより構築すべき

 これらのBCPを構築する際は、企業全体に関わってきますから各部署から選出された「BCPプロジェクト」チームによって進めるべきです。

 各部署は業務内容や作業が違ったり、対応も様々ですから、それぞれその業務に詳しい方を選出しなければなりません。

 また、万一の会社危機に関わる重要なことですから、経営者もこのプロジェクトに必ず加わり、経営戦略にも組込むことが重要です。

編集後記

 事業が継続して行くサステナブル経営を今回、災害の面からとりあげました。

 今回のN社は、まったくBCPについて構築していなかったわけです。

 今後、地球温暖化による災害リスクが、今後ますます増えてくる可能性があります。

 従業員の安全確保のためにも、まさかの災害と思わず、BCP構築が必須条件なのです。


(文責:経営士 三品富義)

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