日本経営士会中部支部

2024-03-05

非正規社員も重要な従業員である

2024/3/5配信


「続・コンサルの現場 No.43」

労務管理のリメイク内容となります。


生産工場において非正規社員の労働環境チェックをするというお話です。

会社の業務には様々な部署や現場がありますが、短時間でも片付く業務があり、

その業務の多くは非正規社員に頼ることになります。

ところが、そんな非正規従業員が憤慨したという話です。

貴方の会社もこのような状況になっていないか、確認する必要があるかと思います。


非正規社員も重要な従業員である

◆ パートタイムAさんへの対応

ある中小企業の従業員が、総務部に無視をされた話。

従業員といっても、時間給で働く非正規のAさん(パートタイマー)です。


夏用作業服のデザインを変更することになりました。

この会社の作業服は、全従業員、会社からの無償支給です。

総務部より、申込一覧用紙に各人のサイズを記入して下さいとの回覧があり、Aさんがその一覧表にサイズを記入しようとしたら、自分の名前がありません。

パートだから致し方ないのかとも思いました。


しかし、パートだからといって支給されず、古い作業服のままではおかしい、総務が名前の記入を忘れたのかと思い、空欄に氏名と作業服サイズを記入して提出したのです。

そして、後日、従業員にその新しい作業服の配布がありました。

しかし、Aさんに作業服は支給されなかったのです。

総務が見落としたのか、パートには支給されないのか。

Aさんは上司にその旨伝えたところ、しばらくして支給されましたが、少し大きめのサイズしかないので我慢してくれとのことでした。


そして、続いて総務部より従業員に新しいタイプの社名の入ったヘルメットの支給がありました。

しかし、Aさんには、そのヘルメットが支給されません。

後日、再度上司にその旨を伝えたところ、ようやく支給されたのです。

これに関し、その上司からコメントもお詫びもありません。

Aさん、「いい加減にしてくれ!」と憤慨したい気持ちでしたが、ここは大人の対応。

◆ 中小企業の労務管理

この中小企業の総務部は、非正規社員のパートタイマーが正規従業員と同じ作業をしているにも関わらず別扱いです。(軽く見られている。)

また、直接作業指示をしてくる上司も、まったく無頓着。

他にも、作業マニュアルがないなど、会社としても従業員教育がなされていないとのこと。


このような経験をしている方、ひょっとしてあるかもしれません。

従業員を、人間としてではなく単なる道具としてみているのかもしれませんね。

この会社は労務に関して配慮がなく、社内の意見交換もないようです。


このようなグレー会社(ブラックよりは良いの意味)はどうでしょうか。

非正規を含めた従業員は、全て人です。

このように扱われたAさんは、こんな会社には期待が持てないと退職してしまいました。

◆ SDGs思考

SDGsの17目標の内、8番に「働きがいも経済成長も」とあります。

たとえ非正規社員であっても、会社にこのような扱いをされては働きがいがなくなります。

それによって、会社は新しい従業員を雇い入れる労力が必要です。

それが損失に繋がり、会社発展のブレーキとなり、業績が足踏み状態となることも有りえます。


このことを理解して、調整指示しなければならないのは、経営者です。

非正規社員(パートタイム)からの声は、経営者に届きにくいものですが、会社風土に問題が生じている可能性もあります。

経営者は総務部長や各部に任せっきりにするのでなく、日頃のチェックが重要です。

編集後記

今回の非正規従業員の扱いは、人を物(何も言わないから)として対応しているようです。

この会社は、まだ昭和時代の働き方で従業員を雇用しているのでしょうか。

だといたしますと、この会社の事業継続は恐らく難しいかと思います。

経営者がパートさんに、いつでも、直接、話ができる風土が大切です。


(文責:経営士 三品富義)

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