日本経営士会中部支部

2024-04-16

お客様のデータは経営者の頭の中

2024/4/16配信


「続・コンサルの現場 No.45」

テーマは「お客様のデータは経営者の頭の中」です。


お客様のことをよく知っていると、親近感が生まれます。

長く経営をしている経営者が、お客様のことをよく知っているのは当たり前です。

ところが、従業員は経営者ほどお客様のことを知りません。

それは、経営者がお客様のデータを抱え込んでいるからです。


お客様のデータは経営者の頭の中

◆ 経営者とお客様との話

あなたの会社に、一人のお客様が入ってきました。顔なじみのお客様です。

「試合の結果はどうでしたか?」
「準々決勝で負けちゃったよ」

「ピッチャーは誰だったんですか?」
「うちのはSが投げて、向こうは甲子園で投げたKだったよ」

どうも、お客様は、草野球チームの監督のようです。

このあと、あなたとお客様の会話は、長々と続きます。

いかがですか?こんな場面はよくあるでしょう。


あなたは、このお客様のことを、たくさん知っています。

たとえば、

  • 出身校や学業成績のこと
  • 勤務先や仕事内容のこと
  • 子供の入学、卒業のこと
  • チームの成績やメンバーのこと
  • 好きなブランドや購入した商品のこと
  • カメラが得意なこと

まだ他にもいっぱいあります。


それにしても、すごい情報を持っていますね。

このお客様だけではありません。

あなたの頭の中には、それこそ、何百人、何千人のデータが入っています。

◆ データを吐き出す

では、このデータ、他の従業員の人たちは、あなたと同じように持っているでしょうか。

もしもあなたの頭の中だけにしかないとなれば、それは実にもったいないことです。

頭の中の情報を外に出してみませんか。


そして、他の従業員の人たちにも、知らせてあげようではありませんか。

会社の全員に公開するのです。そうすれば、あなたが持っている情報が活きます。

皆に、お客様のことがわかれば、お客様との距離が近くなります。


逆に、お客様のほうでも、従業員の方が自分のことをよく知って貰っていることは、嬉しいことです。

会社の信頼感も増すことになります。


では、どうしたら頭の中のある情報を皆で共有できるのでしょうか。

一番手っ取り早いのは、「お客様カード」を作ることです。

様式は、お店で使いやすいものにします。

◆ お客様カードの作り方

お客様一人につきA4用紙一枚くらいが、情報もたくさん載せられていいでしょう。

カードへの記入項目は、

  • お名前(ふりがなを入れます)
  • 顔や身体の特徴・年齢(推定でいいです)
  • 住所(分かれば番地まで)
  • 学校名や勤務先
  • 得意なこと
  • いまはまっていること
  • 今までに買っていただいた商品
  • 家族構成
  • 趣味
  • その他特徴的なこと

といった感じです。


あなたの書き込みが終わったら、今度は従業員の方の番です。

あなたが持っている情報以外の情報を持っている場合があります。

その場合は、お客様カードに追加をしてもらいましょう。

こうして出来上がったカードは、あいうえお順にしてファイルをして、事務所の誰でも見られるところに保管をします。


また、定期的にそのファイルを見ることを、全員に徹底させることが重要です。

そうしないと、作ったカードの意味がありません。

お客様の情報は、何度も繰り返し見ないと頭には入らないからです。

ぜひ、あなたの頭の中のデータを皆で共有して、お客様に近づいてもらいましょう。

編集後記

せっかく作ったお客様カードは、利用してこそ価値があります。

今はデジタルで情報を持つことが出来ますが、今回のようにアナログ的な方法で情報管理をすることも、効果的です。

デジタル情報ですと、繰り返し見ることが少ないように思います。

このようなアドバイスをするのも、コンサルの現場です。


(文責:経営士 梅本泰則)

関連記事