日本経営士会中部支部

2020-06-16

マーケティングミックス(4P)

2020/6/16配信


「ビジネス理論かんたん解説 No.8」

今回ご紹介するのは「マーケティングミックス(4P)」です。


マーケティングミックス(4P)

◆ マーケティングミックス(4P)とは

経営戦略を作るとき、「誰に」「何を」「どのように」提供するかを決めることが必須条件になります。

「誰に」とは、顧客ターゲットを明確にすることです。

「何を」を決めるには、企業の持つ強みや顧客ニーズを明らかにしなければなりません。

そして「どのように」というのが、まさに「マーケティングミックス」に当たります。


つまり、具体的に

 どんな製品を提供するか(製品戦略)

 どんなエリアや立地で、どんな流通経路を使って製品を届けるか(流通戦略)

 どのくらいのコストで、いくらくらいの価格設定をするか(価格戦略)

 どのような宣伝広告や販売促進を行なって成果をあげるか(プロモーション戦略)

という4つの組み合わせを考えることをマーケティングミックスと言います。


これは、1950年代に米国ハーバード・ビジネススクールの二―ル・ボーデン教授が提唱した言葉です。


そして、1960年代に米国のマーケティング学者E.J.マッカーシーが、

 製品(Product)

 価格(Price)

 流通(Place)

 プロモーション(Promotion)

をまとめて、「4P」として提唱し発展させました。


いささか古い理論ですが、マーケティング戦略を考えるときの基本となっています。

◆ マーケティングミックス(4P)の例

4Pの簡単な考え方の例を2つあげてみましょう。

【アパレル企業の例】

  • 商品:消費者のおしゃれ心を満たす商品
  • 流通:直営店とECショップ出店で、消費者に直接販売
  • 価格:ブランド力を高めるために、高級感のある価格設定
  • プロモ:自社WEBサイトでブランドのアピール

【自動車部品メーカーの例】

  • 製品:他社にはない独自機能を持った製品開発
  • 流通:国内外の複数自動車メーカーとの協働
  • 価格:適正利益の確保と自信を持った価格設定
  • プロモ:自社サイトの開設により、消費者との双方向の対話

いかがでしょうか。

こんな感じですね。

もちろん、実際には各項目は1つだけでなく、いくつもあげる必要があります。

戦略の方向性を考えるには、便利な方法です。

◆ 新しいマーケティングミックス(4C)

4Pは「売り手側の視点」としてとらえられていますが、最近では「買い手側の視点」としてとらえられた「4C」という考え方があります。

  • 顧客にとっての価値(Consumer value)
  • 顧客が負担をするコスト(Customer cost)
  • 顧客とのコミュニケーション(Communication)
  • 顧客の利便性(Convenience)

の頭文字をとったものです。

1990年代に米国エコノミスト、ロバート・ロータボーンが提唱しました。


時代の流れは、消費者中心になっています。

この「4C」の視点で考える方が時代にマッチしているようです。


また、「4P」と「4C」を組み合わせる考え方もあります。

マーケティングミックスも、時代とともに変化していくのでしょう。

編集後記

実は、4Pの考え方を発展させたのが、あのF・コトラー教授です。

そのコトラー教授のマーケティング理論も「マーケティング1.0」から始まり、今や「マーケティング4.0」まで進んでいます。

「マーケティング5.0」の世界ももうすぐでしょう。

新型コロナで明らかになった社会の課題が、マーケティングを進化させます。

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