日本経営士会中部支部

2020-09-22

「いいとこリスト」で社員の不満をなくす

2020/9/22配信


「コンサルの現場 No.13」

コンサルタントの仕事は相談者の問題を解決することです。

問題は業績のことばかりではありません。

組織の問題や働く人のモチベーションに関する問題も大きいです。


「いいとこリスト」で社員の不満をなくす

◆ 不満社員

会社に不満を持った社員のいる経営者からのご相談がありました。

そうした社員がいるのは、よくあることです。


社員一人の不満は、ほおっておくと他の社員に伝染します。

悪貨は良貨を駆逐する、というやつですね。

そうなると、会社の中が不満の渦です。

これはなんとかしなくてはなりません。

その社員は、経営者や上司とのコミュニケーションが悪いわけではありません。

仕事はきちんとしますし、反抗的な態度を取ることもありません。


ただ、悪口が多いのです。


社員同士で会話をする時、会社の悪いところや取引先の悪いところ、はてはお客様の悪いところを指摘します。

その社員に注意をしても、なかなか治りません。

これを何とかならないかというご相談です。


実は、この問題は何とかなります。

◆ いいとこリスト

なぜなら、この社員の悪口は、いわば「クセ」だからです。

いつも、どんなことに対しても悪いところばかりが目についてしまうというクセなのです。

往々にして、自分は頭が良いと思っている人が陥りがちなクセです。

ですから、このクセから解放してあげることが、この場合の解決策になります。


そこで、私は社員全員の方に「会社の良いとこリスト50」というものを書いていただくことにしました。

問題の社員だけでなく、全員に書いていただくのがミソです。

「会社の新中期計画を作成しているところです。本日は会社の強み見つける作業をしますのでご協力ください」と言って一人ひとり最低50個の「会社のいいところ」を書き出してもらいます。


こんなことはしたことがありませんから、皆さん戸惑っています。

最初の10個くらいは出ても、50個ともなると苦心惨澹です。

それでも何とか時間をかけて、皆さんに提出してもらいました。

◆ 悪口が減る

それらを集めたら、会社の良いところが全部で数百にも上ります。

そうしたら、不思議なことにその後会社の中の雰囲気が徐々に良くなっていくではありませんか。


例の社員からは、悪口が減っていきます。

影響を受けていた社員も、悪口を言わなくなりました。

どうしてでしょうか。


「いいとこリスト」を書く作業を通じて、「いいところ」を見る感覚に目覚めたからです。

そして、悪いところばかりを見るクセが無くなっていったからです。

逆に、良いところを見る習慣がついていきます。

さらに、皆で考えた会社の良いところをお互いが分かりあえましたので、会社の中は「いいところ」でいっぱいです。


恐るべし「いいとこリスト」です。

ちょっと考え方を変えるだけで、人というのは良くも悪くもなります。

おまけに、中期経営計画の「会社の強み」を洗い出すヒントにもなったわけです。

めでたし、めでたし。

こんなこともコンサルタントの仕事です。

編集後記

この「いいとこリスト」は会社に関することばかりでなく、社員同士でもできます。

「〇〇さんのいいところ」を50個書き出してもらうのです。

すると、お互いの良いところが見えてきます。

ついでに言えば、夫婦の間でも行っていただければ、効果は抜群です。

一度お試しを。

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