日本経営士会中部支部

2021-02-02

KT法

2021/2/2配信


「ビジネス理論かんたん解説 No.19」

今回ご紹介するのは「KT法」です。


KT法

◆ KT法とは

KJ法は有名ですが、KT法はあまり知られていませんね。

KT法はアメリカの心理学者ケプラー氏と社会学者のトリガー氏によって開発された思考技術です。

KT法を使えば、合理的な問題解決と的確な意思決定を導き出すことができます。

◆ KT法のプロセス

人間は、問題に当たると普通は次のように考えるでしょう。

  • 何が起きていて何をすべきか
  • なぜ起きたのか
  • どのように対応すべきか
  • 何が起きそうか


KT法は、このプロセスを

  • 状況分析
  • 問題分析
  • 決定分析
  • 潜在的問題分析

として、課題解決をしていきます。


その分析の進め方手順は次のようです。

  1. 問題の状況を明らかにする
  2. 目的を明らかにする
  3. 問題を分かっている人を呼び込む
  4. 問題は何かを正確に描き出す
  5. 原因究明を徹底的に行う
  6. 解決策の評価尺度を用意する
  7. 解決策候補を選び出す
  8. 実行可能な解決策の実行計画草案をつくる
  9. 組織やリスクを考慮して草案を修正する
  10. 理解と同意を得るように説得する


つまり、課題を設定し、その原因を調べ、対応策を決定し、計画遂行におけるリスク対策をとるということです。

そうすれば、合理的、論理的に問題解決、意思決定ができます。

◆ 思考の癖の排除

ただしその場合、多くの人が持っている思考の癖を排除する必要があると、KT法は指摘します。

つまり、

  • 先入観にとらわれない
  • 結論を急ぎ過ぎて、対策にジャンプしない
  • 固定観念にとらわれて、過去の延長線上の案になっていないかを考える
  • 自説に固執しないで謙虚にリスク対策を受け入れる


こらのことが重要です。

問題解決に当たって、主観や思い込みによる「ワナ」を避けなければいけません。

◆ KT法の利点

そして、KT法には次の利点があります。

  • 思考が視覚化できる
  • 短時間で問題解決できる
  • 思考力がよく身につく
  • 提案力が高まる
  • チームワークが良くなる


KT法は、かなり緻密に組み立てられた思考法です。

経営コンサルタントにも経営者にも必要な手法だと言えます。

編集後記

KT法は「思考のTQC」とも言われます。

また、「ラショナル思考法」とも言います。

この方法は、「思考の癖」を排除することに注目しているのが特徴です。

確かに、先入観や固定観念に縛られたり、考えが飛躍したりすることは、よく見られます。

コンサルティングをするうえでも、重要なポイントです。

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