日本経営士会中部支部

2021-02-09

天下意の如くならざるもの恒に十に七八に居る(晋書)

2021/2/9配信


「中国古典から学ぶ経営 No.19」

今回は「晋書(しんじょ)」からの言葉です。


天下意の如くならざるもの恒に十に七八に居る(晋書)

◆ 晋書とは

晋書は、中国晋王朝(265~316年)について書かれた歴史書で、唐の太宗の命令で編纂されたものです。

中国二十四史の一つで、百三十巻から成っています。

◆ 言葉の意味

言葉の説明は要らないとは思いますが、「世の中には自分の思い通りにならないことが7、8割はある」という意味です。

これは、晋の羊祜(ようこ)という名将が発した言葉です。


羊祜は征南大将軍として南の国境沿いに駐屯し、呉に対する侵攻作戦を練り上げていたのですが、何度政府に進言しても進攻の許可がおりません。

十分な成算あってのことです。

しかし、政府の許可なしに軍を動かすことは出来ません。

苦労をして作戦を立てた羊祜としては、歯がゆかったのでしょう。


つい口をついて出たのが、この言葉です。

◆ 経営に活かす

組織の中で生きている人には、この嘆きがよく分かるのではないでしょうか。

ですから、「プレゼン技術」の本がよく売れています。

「プレゼン講座」なども開かれているくらいです。

もちろん、プレゼンに限ったことではありません。

仕事が思い通りにならなかったことは、それこそ数えきれないでしょう。


同じように、経営もどんなに準備をしても、どんなに苦心をしても、成果がでないことがあります。

いえ、そんなことの連続かもしれません。

そうしたときには、この言葉のように、世の中の7、8割は思い通りにいかないものだと思っていれば、がっかりすることはないでしょう。

とはいえ、そんな言葉に甘えず、常に努力を続けることを忘れてはいけません。


「愚公、山を移す」(列子)という言葉があります。

長期的な展望に立って事を行えば、山さえも切り崩すことが出来るという寓話です。

うまく行かなくても焦らずあわてず、着実に進むことが成功の道なのでしょう。


そして、孔子もこう言っています。

「遇と不遇とは時なり」

うまく行かない時もあるので、その時の過ごし方が大切だということです。

決して卑屈になったり、悪あがきをしてはいけないと説いています。

要は、何事も前向きな心の持ちようです。

編集後記

私も子供のころから、親に「何でも思いどおりになるものではない!」と、よく叱られました。

とはいえ、思いどおりになって欲しいと思うのも人情です。

そこで、成功の法則のような本も読みあさりました。

それで一時的にはうまくいくことはありますが、やはりうまくいかないことの方が圧倒的に多いです。

ですから、思いどおりに行かない時には、この言葉をかみしめることにしています。

皆さんはいかがでしょうか?

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