日本経営士会中部支部

2021-02-16

1平方メートルの掃除の効果

2021/2/16配信


「コンサルの現場 No.20」

「掃除」を掲げて活躍しているコンサルタントがいます。

「掃除」を通じて企業の経営改善につなげておられるのです。

また、「掃除」を行動指針にしている経営者や企業もあります。

「掃除」には不思議な力があるようです。

そこで、今回は「掃除」のコンサル事例をご紹介します。


1平方メートルの掃除の効果

◆ 売場の掃除

近頃は地域の小売店さんの売場も綺麗に商品陳列がされて、掃除も行き届いているお店が多くなりました。

大型店やSCの売場の影響でしょうか。

とはいえ、まだまだ売場の清掃が不十分なお店があります。

何十年も同じ環境で商売を続けていると、それに慣れてしまうのでしょう。

本当ならば、数年に一度は売場の改装をして欲しいところですが、必ずしもそうはいきません。

費用的に無理なお店もあります。

そんなお店には売場の整理整頓だけでなく、掃除をしっかりしていただくようにお願いをすることも大切です。

◆ 掃除のルール

ただし、掃除には一つのルールがあります。

それは、開店前の30分間、毎日一人ひとりが自分の持ち場の1平方メートル分だけを徹底的に綺麗に掃除をする、というものです。

それ以上の範囲を掃除しません。

次の日は隣の1平方メートルを掃除します。

これを続けるだけで、売場は見違えるように綺麗になります。

しかも、従業員の皆さんの意識が変わっていきます。


今までこのお店が掃除をしていなかったのではありません。

自分たちはきちんと掃除をしていたつもりです。

しかし、1平方メートルの掃除をし始めると、これまでいかに大ざっぱにしか掃除をしていなかったかということに気が付きます。


まず、床の汚れです。

拭けば拭くほど汚れが落ちていきます。


次は、商品陳列棚やハンガーの汚れが気になります。

徹底的に磨きます。


プライスカードがついていなかったり、POPが古くなっていることにも気がつくようになります。

数週間も続ければ、自分の持ち場の掃除がひと通り終わるでしょう。

◆ 従業員の変化

その頃には、従業員の皆さんに変化が現れます。


例えば、少しでも床にゴミが落ちていると、すぐに拾うようになります。

商品が歪んで陳列されていると、すぐに直します。

汚れていたり、整理整頓がされていないと、気持ちが悪いのです。

売場だけでなく、トイレやお店の周りも熱心に掃除をするようになりました。


1平方メートルの掃除を始めてから、お客様は以前より気持ちが良さそうです。

売場の掃除が行き届くと、売上に良い影響が出るのは間違いありません。

そんな習慣をつけていただくこともコンサルタントの仕事です。

編集後記

1平方メートルというのがミソですね。

そして、トイレや事務所を見ると、経営者の意識が分かります。

経営手法をアドバイスするだけがコンサルタントの仕事ではありません。

足元も重要です。

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