日本経営士会中部支部

2021-10-05

2代目社長の対応

2021/10/5配信


「続・コンサルの現場 No.1」


ここ最近、社長交代が多くなってきています。

これは昭和で活躍された初代社長が高齢となり事業承継をされるケースが増えているからでしょう。

それに伴って、様々な課題が出ています。

そんな親子承継された企業からのご相談です。


2代目社長の対応

◆ 新社長の課題

金属加工業の2代目社長さんから相談がありました。

親から引き継ぎ社長になったものの、どうも従業員とのコミュニュケーションがとれず、業績も伸び悩んでいるとのこと。


社長が代われば従業員は不安ですが、同時に期待もしていることでしょう。

そして、そこでは新社長のやり方が変わるケースも多く、従業員も戸惑うことがしばしば発生します。

人は変化を嫌い、現状維持を求めるからです。


しかし、その反面、「進歩」は評価します。

仕事がやり易くなった、作業が簡単になった、売上が伸びた、利益が増えた、社内が明るくなった・・・・


特に中小企業の場合の社長交代は、2代目.3代目と、親子継承が多いです。

今まで、社長の息子でいずれ社長を引き継ぐと思っていても、いざその息子が社長になると、立場が変わるのでギクシャクしてきます。


この会社でも同じことが起こりました。

古参社員は、新社長のやり方に不満をもち、新社長は古参社員に遠慮して会話が弾みません。

次第に、新社長は従業員の生活を維持していかねばならないと思う責任感が発生し、なかなか思い通りにならない状態になってしまったのです。

◆ 従業員との信頼をつくる会話

こんな状況のなか、私は直ぐ社長にできる提案をいたしました。

それは、古参社員だろうが、一般従業員であろうが、パートであろうが、どんどん社長から会話をしていくことが必要だということです。

コロナの影響で、飲み会など従業員との交流がなくなっていますから、社長からどんどん話しかけ従業員との信頼関係をつくっていく必要があります。


例えば、

○○さん困っていることありませんか。

△△さん、今日は雨で通勤は大丈夫だったかね。

□□さん、あそこの整理整頓が上手く出来ているね。


人は会話により信頼をつくっていくものです。

最初は、会話が弾まないかもしれませんが、徐々に従業員も答えてくるようになります。

ましてや、社長から声が掛けられたパートさんは感激するはずです。

古参社員にも同じように社長から話かけていけば次第に理解してくるでしょう。


本日より、従業員と信頼関係をつくるため、社長より積極的に声掛けし、会話を作る時間を毎日30分でも良いから日課にして下さい。
と、こんな提案をした次第です。

すると、社長はこの提案を受け止めて、素直に実行していきました。


その結果、2~3カ月後には社長と従業員との距離が縮まっていったようです。

信頼は経営の基本です。

「会話」には費用もかかりません。

それで会社の経営が良くなるのなら、やらなければ損です。

編集後記

会社は人の集団です。それもそれぞれ環境が違った人たちが集まり、一つの目標に向かって仕事をするのですが、それをまとめるのは社長しかいません。

人は会話によってコミュニュケーションを良くし、信頼ができてきます。

その役目をするのが社長の仕事なのです。



(文責:経営士 三品富義)

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