日本経営士会中部支部

2021-10-12

売上向上の公式

2021/10/12配信


「儲かる会社になるヒント No.1」


さて、今回から「儲かる会社になるヒント」シリーズが始まります。

企業が業績を上げるためにはどんなことをしたらいいか、コンサルタントからの目線でお伝えしていく予定です。

その第1回のテーマは「売上向上の公式」。

物事は、数学のように要素を分解して考えると分かりやすくなります。

売上も、その要素を分解してみると、分かりやすいです。

今回は、その最も簡単な分解方法についてお伝えします。


売上向上の公式

◆ 三つの方法

売上の公式をご存知でしょう。

「売上=数量×単価」ですね。

流通業で言えば、「売上=客数×客単価」ということになります。

この公式から分かることは、売上を上げる為には三つの方法があるということです。


一つは「客数」を増やすこと、

もう一つは「客単価」を上げること、

三つ目は「両方」同時に行う、


ということになります。

◆ 客単価をあげる

そこで、「客単価」と「客数」をあげる方法について簡単にご説明しましょう。

まず、「客単価」です。

この客単価をあげる方法はいろいろあります。


たとえば、

  1. 定価で売る
  2. 高い商品を売る
  3. 関連商品を売る
  4. まとめ買いをさせる
  5. ついで買いをさせる

などです。

そのためには、「どんな品揃えをするか」「どんな価格にするか」「どんな提案をするか」などということを考えなければなりません。

つまり、客単価を上げようとすれば、商品政策、価格政策、プロモーションという要素がからんできます。

これにはすごく知恵を必要とします。読みも必要です。費用もかかります。

失敗することもあります。

ですから、客単価を上げるのは、それほど簡単ではありません。

◆ 客数をあげる

それでは、もう一方の「客数」を上げる方法にはどんなものがあるでしょう。

これには、たとえば

  1. お客様の名前をはじめ、ライフスタイルなどを知る
  2. お客様の購入データを知る
  3. お客様にお礼やお祝いのハガキを出す
  4. 定期的にニュースレターを出す
  5. 毎日ブログを書く

などといったことが考えられます。


お分かりのように、客数を増やすということは、自社のファンを増やすということに他なりません。

そのためには、少し手間隙がかかります。

しかし、実は、こちらの方が売上を上げるには近道ですし、それほど費用もかかりません。

なぜなら、客数を増やすには、お客様とのコミュニケーションがあれば良いだけだからです。

かならずしも洗練された商品や設備が必要なわけではありません。

経営者や従業員の人柄や、商売への熱い心、お客様を大切にする気持ちがあればそれで十分です。

ですから、私は客単価を上げる方法よりは、客数を上げる方法を研究されることをお勧めします。

◆ 新規か既存か

ところで、この公式で使われている「客」は「新規」のお客様でしょうか、それとも「既存」のお客様でしょうか。

「客数」を上げるというと、「新規」のお客様を獲得することと考えがちです。

もちろん、いつも新しいお客様を増やす努力は必要です。

しかし、それよりも「既存」のお客様とのコミュニケーションを深めることの方が客数の増加につながります。


なぜなら、現在のお客様ならば、より深く知り合うのに新規のお客様ほど時間がかからないからです。

小売業ならば、そのお客様との距離が近くなれば、今以上に何回もお店に来てくれるようになり、周りの人にもお店を宣伝してくれます。

このような善い循環が、お客様の数を増やしてくれるのです。


とはいえ、「売上の公式」は数学のように正解を導き出すものではありません。

試行錯誤を重ねながら、効果の精度を高めていきましょう。

編集後記

売上の公式は、さらに分解して考えられます。

  • 客数=新規顧客数+リピート顧客数(リピート回数)
  • 新規顧客数=商圏の人口×認知率×来店率
  • リピート顧客数=既存客数×来店回数
  • 客単価=買い上げ点数×商品単価

といったように。

分解要素を増やせば、有効な対策も増えてきます。

また、この売上向上の公式は、製造業でもサービス業でも当てはまります。

「数量」と「単価」の分解要素を考えると良いです。



(文責:経営士 梅本泰則)

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