日本経営士会中部支部

2020-09-01

すぐに良い結果を出す方法

2020/9/1配信


「コンサルの現場 No.12」

コンサルタントは、お客様の抱える問題を発見し解決していくことが仕事です。

その問題には浅いものと深いものがあります。

最初から深い問題を解決しようとしても、なかなかうまく行きません。

問題解決に時間がかかるからです。

今回は、問題解決の一つの方法を紹介します。


すぐに良い結果を出す方法

◆ 問題解決の最初のステップ

コンサルティングを依頼に来られる方の多くが「売上をあげたいので何とかしてほしい」という相談をされます。

その場合、コンサルタントとしては「どうして売上が上がらないのか」という原因を探っていくのが通常のステップです。

そして、原因を探っていくと、どんどんと本質的な問題に突き当たっていきます。

その行きつく先は、結局は「経営者」の問題となってしまうのです。


しかし、この問題を解決するのは本当に難しいですし、時間もかかります。

ですから、最初のステップとして「簡単に解決できる方法」を探っていくことがコンサルティングの秘訣です。

相談に来られた方は「すぐに結果が出る」ことを求めているからです。

◆ 販売データの集計

そこで、「簡単に売上を上げる方法」について、その解決ステップの例を見てみましょう。

まず、お客様に過去2年分の商品別販売データを提出していただきます。

データを持っていないお客様もありますが、その時は仕入伝票や在庫表をもとに計算してもらうと良いでしょう。

また、しっかりと単品管理をされているお客様もいれば、カテゴリー別の大きなくくりのデータしかないお客様もあります。

いずれにしても、月別の売上金額と数量を集計したデータが必要です。


データが手に入ったら、それを販売の多い商品(群)から順番に並べます。

すると、多くの場合意外なことが分かります。

例えば、販売スタッフはシャツが一番売れていると思っていたのに、データを分析してみるとパンツが一番売れていた、といったことです。

販売の感覚と実際とが違っています。

このことでお客様はビックリされます。

◆ 売上を上げる法

問題は売上を上げることです。

そのためには、2つのことを提案しなければなりません。

それは、例えば

1)売上の多い商品をさらに力をいれて販売する。

2)過去6ヶ月間の販売伸び率の高い商品をさらに伸ばす。

といったことです。


つまり、売上に占める割合の多い商品と、直近に売上が伸びてきた商品に焦点を当てます。

それらの商品の販売に力を入れるのです。

すると、数カ月もすると、売上が伸び始めます。

売れている商品を売っているのですから伸びるのは当然です。

その結果、会社全体の売上があがり、従業員も自信を持ちます。

これが「すぐに結果を出す」一つの手法です。


とはいえ、これが本当のコンサルティングではありません。

本質的な問題解決に進むのは、その次です。

「すぐに結果が出る」ことで、お客様はコンサルタントを信頼するでしょう。

そうなると、コンサルティングがうまく進んでいきます。

その結果、本質的な問題解決に迫ることができて、ますますお客様の業績が良くなるというわけです。

編集後記

経営コンサルタントは、この「簡単に解決できる方法」をいくつ持っているかが勝負です。

その方法は、本を読んでも教えてはくれません。

コンサルティングの現場でトライ&エラーを繰り返しながら、自分なりに掴むしかありません。

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