日本経営士会中部支部

2021-08-03

ウエブ戦略を考えるメーカーさんからの相談

2021/8/3配信


「コンサルの現場 No.28」

この頃は、どの業界でもDXが唱えられています。

その影響でしょうか、デジタル活用の相談が多いです。

今回は、その中から一つご紹介します。


ウエブ戦略を考えるメーカーさんからの相談

◆ ネットで取引を増やしたい

今以上にウエブ戦略に力を入れようとするメーカーさんから、相談がありました。

自社の公式ホームページをもっとうまく活用して小売店さんとの取引金額を増やしたい、ということです。

そこで、その会社の公式ホームページを見てみました。

大変立派な作りです。

これをうまく活用すれば、さらに業績があがるに違いありません。


このメーカーさんに次の質問をしました。

  1. 貴社製品のユーザー特性は明確になっていますか?
  2. どのような特性の小売店を販売ターゲットにしていますか?
  3. 販売店の顧客は貴社の製品ユーザーと合致していますか?
  4. 販売店の貴社製品ユーザーリストは入手していますか?
  5. 販売店の中でネット販売に成功している事例はありますか?

◆ メーカーさんの返答

すると、先方からは、こんな答えが返ってきました。

  1. 当社製品のユーザーは、老若男女が対象で、年齢、職業、ライフスタイルともバラバラです。
  2. 当社の取引先は従業員1~6名程度の一般小売店です。
  3. とうぜん販売店の顧客と当社ユーザーとは同じです。
  4. 販売店の当社製品ユーザーのリストは手にしていません。ただし、当社公式ホームページへの登録会員は3万人います。
  5. ネット販売で成功している取引先の事例は把握していません。

どうやら、このメーカーさんは自社製品のユーザー像を明確には持っていないようです。

それを明確にすれば、良い販売戦略が組み立てられることでしょう。

このメーカーさんにとっては、それが最初の作業です。

そして、このメーカーさんには公式ホームページで集めた3万人の会員リストがあることが分かりました。

素晴らしい財産です。


そこで、次のようにアドバイスしました。

◆ 私のアドバイス

  • まず、どんなユーザーに買ってほしいか、しっかりと決める。
  • 3万人の会員に、最低でも週に1回のメールマガジンを発行する。
  • フェイスブックページを開設して、フォロワーを増やす。
  • 可能ならば、販売店に頼んで自社製品の顧客リストをもらう。
  • その集めたリストを基に、販売店名を明記したDMで、製品やイベントの案内をする。
  • 公式ホームページには、ウエブサイトの紹介をした全国の販売店リストを掲載する。

という、いたって当たり前の内容です。

これらを実行すれば、このメーカーさんのファンが増えるに違いありません。

しかも、販売店さんにとっては、新しいお客様が獲得できる可能性が高いです。

そう申し上げましたところ、どうもメーカーさんの反応は鈍い感じがしました。

そんな面倒なことをはやりたくない、という様子です。


時間や手間をかけずに、一気に売上をあげる方法を探しているのかもしれません。

その答えを求めてこられたのでしょう。

残念ながら、そんな都合の良いアイデアは持ってはいません。

ですから、結局今回の相談は不首尾に終わってしまいました。

3万人のリストも無用の長物になってしまいそうです。

編集後記

コンサルティングをしていると、こんなこともあります。

コンサルタントのアドバイスが、先方の思惑とは違っていたのでしょう。

とはいえ、無理に先方に合わせるのは良くありません。

先方にとって、少しは考えるヒントになったかもしれません。

関連記事