その長ずる所を尊び、その短なる所を忘る(三国志)
2020/8/25配信
「中国古典から学ぶ経営 No.11」
今回は「三国志」からの言葉です。
その長ずる所を尊び、その短なる所を忘る(三国志)
◆ 三国志
三国志を知らない人はいないでしょう。
「魏」「呉」「蜀」三国の歴史を記した中国の正史です。
紀元280年頃に、西晋の官僚である陳寿の手によって作られました。
特に魏の曹操、呉の孫健、蜀の劉備玄徳と諸葛孔明は有名ですね。
この「三国志」をもとに、小説「三国志演義」が作られましたので、面白おかしく伝わることになりました。
そして、三国志の中には経営の参考になる言葉もたくさん出てきます。
今回紹介した言葉は、その一つです。
◆ 言葉の意味
これは、呉の孫権の言葉です。
上司が部下を育てる方法を説いています。
孫権は部下の育て方がうまかったそうです。
「部下の短所は見ないで長所を伸ばせ」ということですね。
とかく人は、その欠点ばかりに目が行きがちです。
良い所をなかなか見つけられません。
ですから良い指導が出来ないのです。
良い上司は部下の成果を心からほめてあげます。
あの山本五十六元帥も言っています。
「ほめてやらねば人は動かじ」
そして、経営コンサルタントの船井幸雄さんは「他人を心からほめられるようになって一人前」と言っていました。
それほどほめることは難しいのです。
「知識も経験も教養もない人間力の低いうちは、他人の欠点しか見えない」からだそうです。
耳が痛いですね。
◆ 経営に活かす
では、どうしたら上司は部下の長所を見つけることができるでしょうか。
もちろん、その業績や仕事の成果を見ることは必要です。
また、普段の行動をしっかり観察することで、良いところが見えてきます。
それも結構ですが、もう少し簡単に出来る方法があります。
それが「社員の良いところ発見会議」です。
社員が集まって、お互いの「良いところ」を10個ほど紙に書いていきます。
すると、社員一人につき数十個の「良いところ」が発見できるのです。
上司は、そのリストを参考にして部下をほめてあげればどうでしょう。
さらに言えば、上司は部下と頻繁に会食をすることです。
その場で部下の意見や意見をよく聞いてあげ、同時にほめてあげます。
きっと部下は成長していくことでしょう。
部下をほめる文化のある会社にしていきましょう。
編集後記
他人の欠点ばかりが目についてしまうのは、ものの見方考え方の癖でもあります。
良いところを見る癖をつけることが大切ですね。
さて、三国志には有名な言葉がたくさんあります。
「呉下の阿蒙(あもう)に非(あら)ず」
「泣いて馬謖(ばしょく)を斬る」
「喜怒を色に形(あらわ)さず」
「用兵の道は心を攻むるを上となす」
三国志演義でも読みながら、これらの言葉の登場場面を探してみてはいかがでしょう。