備えを以て時を待ち、時を以て事を興す(管子)
2021/3/2配信
「中国古典から学ぶ経営 No.20」
今回は「管子」からの言葉です。
備えを以て時を待ち、時を以て事を興す(管子)
◆ 管子とは
この言葉は、「管子」にあります。
「管子」は、中国春秋時代の斉の国の名宰相、「管仲」とその門下によって書かれた書物です。
管仲は経済政策に力を入れた政治家ですが、「管鮑の交わり」という言葉をご存知でしょう。
これは「管仲」と「鮑叔(ほうしゅく)」の友情が深かったことから生まれた言葉です。
深い友情を表す時に使われます。
管仲は情に厚い人だったのでしょうか。
◆ 言葉の意味
「周到な準備を整えて好機の到来を待つ。好機と見るや、ただちに行動を開始する」という意味です。
つまり、どんな仕事も十分な準備をして取り掛からなければ成功はおぼつかない、また、せっかく万全の準備をしても、良いタイミングをとらえなければいけない、ということを言っています。
これは、人生においても教訓となる言葉です。
誰しもその人生の中で、一度や二度は出番が回ってきます。
その時に備えて、よく準備をしておくことが重要です。
計画を立てることも必要でしょう。
勉強をしたり、技術を習得することも大切です。
人脈を拡げたり、資金を蓄えることも含まれるかもしれません。
そうしたことがものごとの成否につがるということは、皆様も日ごろ目にされていることでしょう。
問題はタイミングです。
このタイミングを計ることはなかなかむつかしいですね。
時が過ぎてから、「あれがタイミングだった」と思うこともしばしばあります。
タイミングを逸してしまうと、成功が出来なくなることもあるでしょう。
そして、ただちに行動することも必要です。
歳を重ねるにつれて行動力が衰えるのを、自然の摂理と言って言い訳をしてはいけませんね。
◆ 経営に活かす
企業においても、十分な「準備」をして好機に行動することで成功しているところは多くあります。
例えば、アマゾンなどは良い例です。
ご存知のように、アマゾンは書籍のネット販売から始まりました。
しかし、しばらくの間は赤字が続きます。
その間、十分な準備をしていたようです。
世の中にインターネットが拡がり始めたとき、一気に書籍以外の商品を販売し始めます。
その後、次々にビジネスの領域を増やし、リアル店舗の経営を始めたり、ウエブサービスにも進出していきます。
その結果、莫大な利益を得る企業に成長していったのです。
まさに、「準備」と「好機」のたまものでしょう。
ビジネスは、時流を見ることが大切ですが、そのための準備をしなければ成功はしないということです。
そして、実行にあたっては、早過ぎても遅すぎてもいけません。
早く挑戦し過ぎて失敗をした企業もあります。
このタイミングを見極めるのも、経営者の能力ですね。
編集後記
「衣食足りて礼節を知る」と言います。
実は、この言葉の由来は「管子」からです。
原文は「倉廩(そうりん)実(み)ちて則(すなわ)ち礼節を知り、衣食足りて則ち栄辱を知る」とあります。
いずれにしても、2500年前の名言が現代にも生きているのは、人間の本質は変わらないということなのでしょう。