日本経営士会中部支部

2021-09-14

中堅メーカーの販売戦略

2021/9/14配信


「コンサルの現場 No.30」

高度成長期に業績を伸ばした企業は、なかなかその成功体験を捨て去ることはできません。

世の中が変化しているのに、以前と同じままだと思っています。

今回は、そんな企業からのご相談です。


中堅メーカーの販売戦略

◆ 販売店戦略

業界では中堅のメーカーさんから相談がありました。

ここのところ業績が伸び悩んでいるので、「販売戦略」のアドバイスをして欲しいとのこと。

現在の販売方法を聞いてみますと、販売代理店(小売店)を通じて商品を消費者に届けています。

問屋さんを通さず、特定の小売店さんに商品の販売権を与えるのが、販売代理店方式です。

全国の販売代理店には、販売実績に応じたリベートを提供したり、商品キャンペーンなどのプロモーションを提供したりしています。

これは、昔からよくある方法です。

そこで、尋ねてみました。

「販売店ごとの販売戦略は立てていますか?」

そんな面倒なことはしていない、とのこと。

どの店にも同じタイミングで同じ販売方法を提案しているようです。

まさに、マスマーケティングです。

◆ 販売店カード

これが、この会社の業績が伸びない原因の一つかもしれません。

「では、営業マン全員に販売店カードを作ってもらってはいかがでしょう」

と提案しました。

営業マンが担当の販売店それぞれの内容を書き出してもらうのです。


例えば、

  • 経営者の家族構成、生年月日、趣味、性格
  • 従業員の名前、出身校、得意技
  • お店を始めた動機、いきさつ、思い
  • お店の将来の展望
  • 年商推移、利益推移
  • 主要取扱いブランドの売上と強み
  • 顧客数と囲い込み方法
  • 競合店とポジショニング
  • このお店での当社商品の位置づけと必要性
  • この店への当社の攻略ポイント

などを書いてもらいます。

すると、意外と営業マンが書けない内容も多いです。

当然ながら、販売店はそのお店ごとに特徴があります。

ということは、一店ずつ販売戦略が違ってくるはずです。

販売店カードの目的は、それを営業マンに明確にさせることにあります。

◆ ユーザーをファンに

そして、さらにもう一つ良い方法を提案しました。

それは、ユーザーをこのメーカーの熱烈なファンにさせることです。

そのためにできることはたくさんあります。

例えば、メルマガを届けてファンにさせるのもその一つです。

会社や商品のファンクラブを作るのも良いでしょう。

ファンクラブの会員には、特別サービスと交換に販売店へ足を運ばせます。

どんな仕掛けをしたらユーザーがお店に行くか、皆でアイデアを出し合うと良いでしょう。

また、Facebookやツイッターやyou tubeなどを使えば、さらに良いです。

今回、相談をいただいたメーカーさんには、そのようなアドバイスをしました。

これらが「時代に合った」販売戦略となることでしょう。

あとは、実行していただくだけです。

編集後記

このメーカーさんにとっては、何ともわけの分からないアドバイスだったかも。

これまで、ずっとメーカーからの目線で販売をしてきたからです。

しかも、販売店に「商品を売らせてあげている」という姿勢が見えます。

その後、今回のアドバイスを実行したという連絡はいただいていませんが、

販売店さんや消費者の立場に立てたとき、業績は回復していくはずです。

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