経営研究会「日本経済の現状と現代貨幣理論について」

経営研究会

テーマ:「日本経済の現状と現代貨幣理論について

講師:近藤守邦

開催日:2023年6月10日(土)

開催場所:タワーラウンジカシメ

「世界経済が拡大するなか、日本は世界で唯一の経済縮小国家となった。」と講師は言う。

 事実、1995年当時、日本のGDPは米国の70%近くあったのだが、2010年には同じアジア圏の中国に抜かれ、現在ではその中国の3分の1、さらには米国の4分の1以下にまで落ち込んでしまった。
 これを世界のGDP構成で比較してみると、1980年には米国28.0%、EU25.0%、日本15.5%と日欧米で68.6%を占めていたのだが、2020年では米国24.5%、EU18.0%、日本5.9%と日欧米の構成比合計は48.3%にまで減少した。一方、中国は17.4%へと拡大し、アジア経済圏の覇権国家となったと言える。

 では、日本の国内経済はどのような現状にあるのだろうか。国内企業のうち資本金10億円以上5,026社の現状(2018年)を、1997年を100とした各項目の比較で表してみると、売上高107%、経常利益319%、配当金620%、役員報酬132%、従業員給与96%、設備投資96%であった。つまり、企業と経済(GDP)の成長ドライバーである従業員給与と設備投資が縮小しているのである。

 正月に豪州を旅行した人が、豪州のアルバイト時給が2,500円であることに驚き、直近の米国の平均時給が約4,600円であるという報道に再度驚いたという笑い話にもならない話が伝えられている。
 過去30年の日本経済のデフレの原因は、緊縮財政と消費税増税であると言われているが、そのデフレ下での増税は、国民生活をますます困窮化する政策です。

 世界はポスト・グローバルへと動き出しました。コロナ禍、ウクライナ戦争、米中冷戦、台湾問題などなど・・・。日本も国民を守る安全保障(防衛・エネルギー・食料・インフラ)の強化と、国家レベルでの中長期的産業政策の強力な推進が必要な時期にあるのではないでしょうか。