なぜ理不尽な上司が生まれるのか?
2022/9/27配信
「続・コンサルの現場 No.18」
ある会社が物流システムを変更したことで、その担当課長がハラスメントにあったり、休暇も取れず働かせられたお話です。
なぜ理不尽な上司が生まれるのか?
◆ 突然の物流システム変更指示
ある日、A社の社長より物流システムの大幅変更の説明があり、その担当N部長及びT課長が呼び出されました。
T課長は、A社の物流倉庫のシステムを任され、2年が経過したところでした。
この物流システムの変更内容は、今までBtoBでの納品に2日~3日掛かっていたものを、全ての商品を翌日納品にするという大幅なものでした。
社長が世の中の時流を読んだうえでの変更です。
そのため、今迄使用していたシステムを一新せねばなりません。
◆ 労働時間の限界
翌日に配達する場合、午前中の発注分は、問屋より夕方5時~6時にA社に納入されそれから入荷検品、仕入れ登録、出荷のピッキング、更に納品先ルートごとの仕分けなどをすることになったのです。
今までT課長は月に数時間位の残業のみでしたが、このシステム導入により毎日の退社が深夜2時ごろになってしまいました。
それでも、T課長は管理職なので、残業代は付きません。
また、出荷システムの新しい問題が発生するたびに、対応を迫られました。
ですから、本来の課長としての仕事は、日曜日に出勤してこなさなければなりません。
そのT課長は、何とこのシステム導入から3ヶ月間、平日は朝7時~深夜2時までの19時間働き、毎日の睡眠時間は3時間になり、日曜日には7時間も働き続けることに。
システム変更後から3か月後、T課長は鬱になり、ノイローゼ寸前に至っていました。
◆ 部長の対応
物流システム変更に際して、新しく夜勤務のパートタイムを雇いましたが、その教育もまともに出来ません。
そのため、商品内容や数量が伝票と違うといった問題が多く発生したり、問屋の在庫不足による納期遅延をするなど、お客様から営業へのクレームが来ていました。
このクレームについて、N部長からT課長に改善提案もなく、「何とかせよ」と、クレームの度ごとに電話でハラスメントです。
T課長がN部長に相談を持ち掛けても、自分で考えよとしか言いません。
その営業クレームは、やがて社長にも伝わり、社長はN部長に現況を確認し、クレーム防止するよう指示を出しました。
そしてN部長はしぶしぶ夜7時ころ物流倉庫に来たのです。
T課長はやっと相談にのってくれるかと期待をしましたが、N部長に会った瞬間、諦めました。
何とN部長は、酒気を帯びていたのです。
結局、T課長はN部長と相談する気がなくなり、N部長に帰ってもらいました。
◆ 総務部長経由で社長と相談
こんなことから、T課長は総務部長にこの状況を相談した結果、社長と話合いの場をもちます。
以後、総務部長と改善策を検討し、徐々に改善することができたのでした。
それがもとで、N部長が任意退職させられたのは、当然のことかもしれません。
社長は「T課長の話から、やっと状況を把握した」と言いましたが、元々社長の提案からシステムが変更になったのです。
ですから社長としてはその後の進捗状況をN部長に確認していくべきだったかと思います。
言ってみれば、社長の日頃の態度がN部長にも伝わり、T課長が大変な思いをしたという事例でした。
編集後記
今回の事例は、管理職の肩書で部下に仕事を一方的に押し付けると言う内容でした。
中小企業によっては、まだまだこのような方法で指揮をしている会社があります。
時代は変わってきているのです。
本来、システム改革ですからプロジェクトチームで取組み、ゴールに向かっての立上げ計画、段階的取組み、その後の進捗管理を、社長を含め多数の意見を出し合いながら進めて行くべきであったかと思います。
(文責:経営士 三品富義)