功の崇(たか)きは、これ志 業の広きは、これ勤(書経)
2020/3/31配信
「中国古典から学ぶ経営 No.4」
今回は「書経」からの言葉です。
功の崇(たか)きは、これ志 業の広きは、これ勤(書経)
◆ 書経(しょきょう)とは
書経は、中国最古の歴史書です。
堯・舜から夏・殷・周王朝までの天子や諸侯の政治上の心構えや訓戒・戦いに臨んでの檄文などが記載されています。
尚書(しょうしょ)とも呼ばれ、儒教の重要な経典である五経の一つです。
孔子が編纂したとも言われていますが、定かではありません。
◆ 言葉の意味
この言葉の意味は、成功のためには「志」と「勤」の二つが必要だ、ということです。
「志」とは大きな目標のこと。
そしてその目標を達成するためには「持続的な努力」をしなければならないという意味でしょう。
「持続的な努力」とは、単に同じことを続けるということではありません。
目標を実現するための手段や方法を常に考え行動に移してくことが必要です。
このことは、まさに私たちの人生にも経営にも当てはまります。
三千年も前に、このようなことが言われていたとは驚きです。
日本人は「勤」は得意なようですが、いつまでも過去と同じことを続けていては本当の「勤」とは言えません。
そして、問題は「志」です。
なかなか「大きな目標」は立てられません。
とはいえ、最初は「志」の無いままに事業を始められたとしても、気がついたときに「志」を持てば大丈夫です。
きっと成功に至ることが出来るでしょう。
◆ 経営に活かす
ソフトバンクグループの孫正義会長は、「志」ということを強調していました。
起業当初から、大きな目標を持っていたのでしょう。
ですから、今や9兆円の企業に成長しました。
もちろん、「持続的な努力」を続けているからこそです。
ファーストリテーリングの柳井正会長も同じではないかと思います。
ユニクロの成長は、「大きな目標」と「持続的な努力」に支えられているはずです。
ですから、どんな企業も「大きな目標」を持つことが成長への道につながります。
そこから逆算をして、やるべき事を決めながら「努力を持続させる」ことです。
あなたには、どんな「大きな目標」があるでしょうか。
編集後記
「SDGs」が大きな潮流になっています。
「持続可能な開発目標」ということですから、まさに「志」と「勤」ですね。
また、書経の中からは「九仞(きゅうじん)の功を一簣(いっき)に虧(か)く」という言葉も生まれています。
詰めを間違うと折角の努力も台無しになる、という意味です。
ことほど左様に成功への道は険しいとも言えます。