企画の是非は何で決まるのか
2022/6/7配信
「実践経営講座 No.12」
企画の全体像から企画の意味合いを問う話です。
企画の是非は何で決まるのか
◆ 企画とは何か?
経営企画から販促企画、企画会議に企画書、企画プレゼン講座。もっと新しい企画を出せ、企画力を身に付けろ。
マネジメント、マーケティングによらず、会社の中にも外にも溢れる「企画」とは何か。
企画の定義はともかく、企画の目的は明確です。
それによって、何らかの問題を解決し、何かを実現することです。
企画の起点は、問題意識です。
これでいいのか?他にも方法があるのでは?そもそも目的は何だったのか?
問題意識は、現状に対する疑問とも言えます。
現状への疑問に発し、問題を解決する手立てが、企画です。
◆ 企画と構想の違い
企画の「企」の字は、「人」と「止」に分かれ、「止」は踵(かかと)、「企」は人が、つま先立って外の様子をうかがう姿を表しています。
「画」には図りごと、前もって謀るの意味があります。
漢字からは、企画を「見渡せる範囲で、少し先のことを前もって計画する」ことと解釈できます。
企画は、現状に即し現実的な範囲で、問題解決を図ることと言えそうです。
企画に対し構想は、全体ビジョン実現のために、マクロな観点で問題解決を図るためのプランです。
構想と企画には、構想で描いたビジョンの実現に向け、企画を積み上げていく関係が成り立ちます。
中期経営計画の場合、3年後のビジョンやドメイン、全社目標は構想です。
全社目標に基づき、各部門に割振られた目標数値を、年度ごとに達成するためのアクションプランが、企画に当たります。
中期経営計画の例からも、企画は、現状の範囲内であっても、目的は、構想に一致すべきものだと言えます。
◆ 企画は何を見られているのか
クライアントは、企画書の何を見て是非を判断するのでしょうか。
見るのは企画の頭、胴、脚の3つです。
企画の頭
目的を正しく捉え、明確に示されているか。
この企画により、どのような問題が解決されるのか。何が実現されるのか。
今までと何が違うのか。何が新しいのか。
企画の胴
どのようにして問題を解決するのか。何をして実現させるのか。
どういうカタチで解決、実現するのか。
企画の脚
実現できる根拠、メドはあるのか。
実施するための手順は、具体的に示されているか。
企画は、構想あるいは何らかの目的を実現するための手段に過ぎません。
目的に沿って何を問題として、具体的にどのようにして解決、実現するかが明確でなければ、企画としての意味を成しません。
企画の全体像、要素の意味合いを問うことは、経営計画の構造を見直す機会とも言えそうです。
編集後記
企画を出しても、前例がないからといつも却下される。
企画の通らない理由のほとんどは、頭(目的)のズレ、胴(実行プラン)の細さ、脚(実現性)の弱さが原因です。
クライアントや上司の「前例がない」は、頭、胴、脚の一部または全部に問題を見取った時の慣用語です。
「前例がない」の意味合いが理解できれば、次からの企画の精度は向上するはずです。
企画書の見映えの前に、何のための企画であるかを明確にすることが大切です。
(文責:経営士 江口敬一)