不良品削減の対応で会社風土が変わった
2022/8/16配信
「続・コンサルの現場 No.16」
製造業における、不良品の削減を図ったある会社事例をお伝えします。
不良品削減の対応で会社風土が変わった
◆ ある会社の不良品発生状況
A社は自動車部品を製造している従業員50人位の会社です。
その自動車部品は細かく、約500種類もの製品を製造しています。
ところが、ほとんど毎日というほど納品先から品質不良の連絡がありました。
納品先から品質不良が発生すると、その納品先の現場に行き、納品した製品を再度、検査するという選別作業をしなければなりません。
更にその原因を究明する「なぜなぜ分析」をし、「不具合発生報告書」をその納品先に提出しなければならないのです。
これらの処理担当は品質管理部ですが、2名が担当していました。
次から次へと発生する不良品の為、この品質管理部の担当者は心身ともに疲弊してしまっていたのです。
◆ 不良発生対応に中途採用の新従業員を採用
品質管理部の部長は、品質管理の不良品対応のため1名を中途採用しました。
しかし、この中途採用者は品質管理のことは何も知識がありませんでした。
品質管理部長は、とにかくどんな人でも良く人海戦術でこの機を打破しようと思ったのか、妥当な人が見つからなかったのか分かりません。
しかし、この中途採用従業員も入社早々、不具合対策の選別に巻き込まれていったのですが、暫くすると少し考えが違ってきました。
つまり、製造で発生した不良は、製造工程で発生したものであり、何故、品質管理部が全て対応しなければならないのか疑問を持ったのです。
そして、品質管理部の部長と社長を交え、この不良品対策について話し合いをし、この不良品発生の際の選別を部署の壁を越え、全員で対応することにいたしました。
ある時は経理担当者や総務担当者、そして製造現場のオペレーターなどがその都度、対応してくれたのです。
◆ 会社の風土が変わってきた
そんな会社全体で選別作業をするようになって3か月位過ぎた頃、不良品の発生頻度が1週間に1度、あるいは発生しない週も出てきたのです。
部品の選別作業は、納品先の現地にいかねばなりませんし、その作業時間も随分掛かってしまいます。
それでも、各部署より手伝っていただき、お礼を言ったり、選別の仕方の方法を伝えたりと、各部署との交流が今までになく出てきたのです。
選別作業に行く際は、会社の看板で行くのですから、皆さん真剣であり末端のオペレーターもいい加減な仕事をしていてはだめだと意識してくれるようになりました。
不良削減を機に会社全体で行動を起こしたことで、社内の風通しがよくなり、風土が変わってきたのです。
1人の中途社員の提案が、社長や品質管理部長に受け入れられ、成果が出たA社の事例であり、皆様の企業において参考になればと思います。
編集後記
企業は、各部署に分かれそれぞれ担当を持ち、仕事をしていますが、ややもすると今回のように各部署がセクト化(壁ができる)している企業もあるかと思います。
会社は1つです。各部署間のコミュニュケーションが図られると、会社の風土が良き方向に変わるはずです。
(文責:経営士 三品富義)