どうしたら経営者の品格が上がるのか
2022/11/15配信
「儲かる会社になるヒント No.20」
テーマは「どうしたら経営者の品格が上がるのか」です。
以前、「国家の品格」とか「女性の品格」といったことが話題になりました。
「品格」とは、どんなことなのでしょう。
そして、経営者にも「品格」は必要なのでしょうか。
どうしたら経営者の品格が上がるのか
◆ 武士の品格
「品格」について考えるのに、参考になる本があります。
新渡戸稲造の「武士道」です。
ご存知のように、新渡戸稲造は明治の教育者で、旧五千円札の肖像にもなっています。
実は、この「武士道」の中に、「武士の品格」ということが書かれています。
これは、「経営者の品格」としてもとらえることが出来そうです。
「武士道」では、日本人の精神が実にうまく説明されています。
今の日本を作っているのが「武士道」であることも分かるでしょう。
もちろん「武士道」は、江戸時代に形作られたものです。
その時代、庶民は武士にあこがれをいだいていました。
そのため、次第に「武士道」が庶民の中にも浸透していき、やがて、日本人の文化ともなっていったのです。
それはともかく、武士の教育で最も重んじられていたのは、「品格の形成」でした。
そして、その品格の形成に必要な柱は、「知」「仁」「勇」の三つだと言っています。
◆ 知・仁・勇とは
「知」とは知識ではなく、「叡智」「知恵」のことです。
そして、富は知恵を妨げるものとして、武士は損得勘定をしないことを教えられています。
「仁」とは、優しく柔和で母親のような徳で、他人を思いやる心のことです。
そして、その思いやりの心が外に現れたものとして「礼」があります。
「礼」とは、寛容にして慈悲深く、人を憎まず、自慢せず、高ぶらず、相手を不愉快にせず、自己の利益を求めず、憤らず、恨みを抱かないという態度のことです。
また、「勇」とは、正しいことを行う勇気を言います。
そして、その行動をする勇気もありますが、どんな時でも冷静に落ち着いた心の状態を保つことも勇気だと、書かれています。
これが「品格」なのです。
この「品格」は、経営者にもあてはまるのではないでしょうか。
少し具体的に考えてみます。
◆ 経営者の品格
まず、「知」から進めましょう。
「知」とは、「叡智」「知恵」のことでした。
経営者に必要な知恵の中で、最も重要なのは「志」です。
社会に対してどのような役に立ちたいか、という思いといっていいでしょう。
また、どうしたらお客様や従業員に喜んでもらえるか、ということでもあります。
その方法は「知恵」から生まれるのです。
そして、武士道では、損得勘定を考えないということでした。
一見、これは経営では難しいことのように思えます。
しかし、決して儲けてはいけないと言っているのではありません。
手にした富でぜいたくをしてはいけないと言っているだけなのです。
そして、その富を社会に還元することが「知」であると言っています。
その次の「仁」は、思いやりの心を持って他の人達に接する、ということです。
従業員への思いやりは、給与や待遇にも現れるかもしれませんが、重要なのは、普段の接し方でしょう。
お客様への思いやりは、価格を安くすることではありません。
そのお客様に合った商品を提供し、うまく使う方法を伝えることです。
そのためには、お客様のことをよく知っておかなくてはなりません。
取引先に対しても、同じことです。
どうしたら取引先のためになるかを考えましょう。
決して、自分のためだけを考えてはいけません。
最後は「勇」です。
「勇」とは、新しいことに挑戦する勇気のことではないでしょうか。
変化をする勇気かもしれません。
また、何事にも冷静に対処できる心構えも必要です。
今こそ「勇」が求められている時代だと思います。
いかがでしょうか。
「品格」のある経営者であるには、「知・仁・勇」の三つを心がけることだと分かります。
ぜひ、経営者としての品格を高め、会社を発展させましょう。
編集後記
時に、「品格」を感じる経営者に出会います。
一方、「品格」を感じさせない経営者もいます。
たとえば、いつも批判や悪口ばかりを口にする経営者です。
どうか、「品格」のある経営者であってください。
私もコンサルタントとして「品格」を身につける努力をしなければ。
(文責:経営士 梅本泰則)