中小企業が成長する肝
2022/12/20配信
「続・コンサルの現場 No.22」
昨今、日本の労働生産性が低いと言われていますが、その原因を探り、どうすれば良いかというお話です。
中小企業が成長する肝
◆ 労働生産性が低い日本
2020年日本生産性本部資料よると、日本の労働生産性はOECDの38加盟国の内、第29位、先進国7か国では最下位です。
また、2020年中小企業白書よると、日本全企業359万社(者)中における中小企業数の割合は99.7%もあり、その労働生産性は、大企業の半分以下となっています。
「日本人は勤勉で良く働く」と言われてきましたが、その中小企業の労働生産性が低いのは何故でしょうか。
◆ コミュニュケーション不足
一つには、人と人とのコミュニュケーション不足ということがあります。
これはコロナの影響によりオンラインの普及、マスク着用、ソーシャル・ディスタンスにより必要以上に会話をしなくなったことも原因だといえるでしょう。
人間同士の会話が減少し、相手の人間性や考えの情報が欠落することになってしまったワケです。
つまり、人間同士が如何に相手を知り、その相手の考えを受け入れ、その人間同士の信頼関係を構築出来るコミュニュケーションが不足しているということです。
また、若者は仕事とプライベートをきっちり分け、報酬が出ない企業主催の飲み会とか慰安会などに参加しなくなってきていることにも、コミュニュケーション不足の一因があります。
◆ 上司から部下に話かけて信頼関係を築く
もう一つ言えることは、中間管理職が若者(部下)に話かける努力が少なくなってきているのも原因かと思います。
部下の意見を聴き、それを受け入れる努力が不足しているように感じるのです。
特にZ世代と言われる若者は、生まれたときからスマホを通じて情報を取り入れるという環境があり、人によってはかなりの知識やスキルをもっている場合があります。
それに中間管理職がついていけないことで、部下との会話が減少しているのです。
上司は部下から学ぶことも必要だと考え、上司より部下に話をかけていきながら、お互いの信頼関係を築くことが仕事でもあります。
こんな上司と部下の信頼関係を築く場合、お互いを理解するためには仕事以外の趣味や経歴、家族などの雑談が不可欠です。
お互いの環境や考え方を知ることにより、共感を得たり勉強出来たりすることが信頼関係に繋がっていきます。
◆ 会社に来るのが楽しいと思う職場風土
社内で人との信頼関係が出来ると、会社に来るのが楽しくなります。
信頼している人に会える楽しみが出来、信頼している人と何でも言い合える環境が出来れば、仕事に対する意見やアイディアが出てくるようになるからです。
こうした風土が企業全体に浸透してくると、全てにおいてプラス思考の発想が多くなり、業務改善やイノベーションに結び付き、その結果、中小企業の生産性が上がってきます。
そして、盛んに言われている働き方改革にも結びついてくるのではないでしょうか。
企業は、生産性を上げるために新システムやロボットを取り入れることも必要ですが、経営者は、その前に中間管理職や末端の従業員までが何でも言い合える楽しい職場風土づくりに心がけ、それを実行して行くことが肝かと思います。
編集後記
サッカーワールドカップの日本は、惜しくも今回もベスト8を達成出来ず残念でした。
しかし、内容は強豪のドイツにもスペインにも勝ったことは4年後に繋がるかと思います。
特に監督とベテランの選手、そして若い選手が一丸となりお互いを信頼し合いながら戦っている姿をみますと、今の中小企業の不可欠な部分を表していると感じるのです。
(文責:経営士 三品富義)