老舗企業は何故継続できているのか
2023/1/10配信
「続・コンサルの現場 No.23」
100年以上企業経営が続いている老舗企業は、何故継続ができているのかのお話です。
老舗企業は何故継続できているのか
◆ 日本は世界からみても老舗企業が多い
先日、ある新聞に今年の創業や設立周年リストが掲載されていました。
日本で最も古い老舗企業といえば大阪の「金剛組」です。
昔から神社仏閣の建造物に取組み、なんと創業1400年の歴史があります。
また、日本は大変に老舗企業の多い国で、100年以上の老舗企業は33000社以上あり、世界の80%を占めています。
そして、その中の1位から7位までが、日本の老舗企業で占め、いずれも創業1000年以上なのです。
◆ なぜ日本は老舗企業が多いか
日本に老舗企業の多い理由は三つあるかと思うのです。
その一つは、昔から代々引き継ぐ家督相続制があります。
子は親を尊敬し、引き継いでいくことが当たり前だったからです。
その二つ目は、社員も家族、同じ釜の飯を喰うというのがあります。
社長と従業員との信頼による一体感で同じ目標に向かうことができているのです。
三つ目は、日本は島国です。
他国の人の参入が少なく、日本の伝統が崩れてこなかったからです。
◆ 老舗企業となるためには
では、そんな老舗企業となるために経営者は、何をしていけばよいのでしょうか。
現在は、ウイズコロナ、円安、物価高騰、半導体不足を含め、先行が不透明で将来予測が困難な時代と言われています。
しかしながらいつの世も時流は常に変化しており、現代のみが将来予測が困難で無いと思うのです。
老舗企業には、ブランドという信用があります。
利益が先ではなく、社会に対する貢献を優先する利他の精神やコンプライアンスを重視しているのです。
そして時流の変化に対し、常に改善や向上を図っています。
決して先代が作った伝統に対し、あぐらをかいていないのです。
◆ 老舗企業に向かう富士フイルムのすごさ
今年のTVCMにて「お正月を写そう」を放映している富士フイルム社。(旧:富士写真フイルム)
以前はアメリカのコダック社を抜き、写真フイルムの製造・販売で世界の一番シェアでした。
ところがデジタルの進出により、2000年をピークに売上の6割、収益の7割を占めていた写真フイルム事業を僅か4~5年でほぼ無くしてしまいました。
しかし、現在も創業88年で老舗企業に近づいてきているのです。
富士フイルムHDと体制を変えたものの、2022年3月期の売上高は、2兆5,258億円、営業利益は、2,257億円となっています。
富士フイルムは既に1980年ごろからデジタル写真は普及すると踏んでおり、自らデジタルカメラの開発に挑んでいたのです。
環境の変化に応じ変化し続け、成長し続ける企業、自ら変化を作り出す企業の代表となりました。
デジタル写真の普及によりこの写真フイルム製造は極小になっているものの、写真を撮る楽しさを訴求していることが素晴らしく、老舗企業となる姿勢ではないでしょうか。
編集後記
私が35年間、勤務していた写真フイルム現像所は、デジタル写真の影響で廃業してしまいました。
経営者は、デジタルに脅威を感ずることなくアナログの優位性を信じていたのです。
レコードがCDに変わり、そのCDも今、消滅しようとしています。
100年に1度の自動車産業危機も叫ばれているのです。
時流の変化に応じ変化し続ける企業こそが生き残れます。
(文責:経営士 三品富義)