禁煙による健康経営を検討
2023/3/14配信
「続・コンサルの現場 No.26」
健康経営の一部として、従業員へ禁煙を勧めるお話です。
禁煙による健康経営を検討
◆ 禁煙する企業が増えている
帝国データバンクによる2020年2月の「企業における喫煙に関する意識調査」によりますと、企業の26.2%が全面禁煙を実施しており、完全分煙が53.9%です。
これは、年々従業員が健康で働くことが企業の業績にプラスになることを目指す「健康経営」が増えて来ているからだと言えます。
しかしながら、現実に喫煙者にとって禁煙はそう簡単ではないのです。
◆ 禁煙外来には保険治療がある
そこで、ある企業では、喫煙者に対し禁煙外来を勧め、卒煙者にお祝い金を出しています。
この際、禁煙外来の保険治療対象者は、以下の4条件が不可欠です。
- ただちに禁煙しようと本人がおもっていること。
- ブリクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上。(35歳未満は不要)
- ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)が5点以上。(※下記詳細)
- 禁煙治療を受けることを文書にて同意していること。
※このスクリーニングテスト(TDS:Tobacco Dependence Screener)では下記9項目中の5項目(点)以上が保険治療対象者となります。
- 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くたばこを吸ってしまうことがありましたか?
- 禁煙や本数を減らそうと試みて出来なかったことがありましたか?
- 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、たばこが欲しくて欲しくてたまらないことがありましたか?
- 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれがありましたか?(イライラ、神経痛、落ち着かない、集中しにくい、憂鬱、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
- 上の症状を消すために、またたばこを吸い始めることがありましたか?
- 重い病気にかかって、たばこがよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
- たばこのために健康問題が起きていることがわかっていても吸うことがありましたか?
- 自分はたばこに依存していると感じることがありましたか?
- たばこが吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度かありましたか?
喫煙者は、何時か禁煙したいと思っている人がほとんどであり、企業が禁煙を応援してくれるならば、この禁煙外来の禁煙成功率が高くなるのです。
その結果、禁煙に成功した人は、心身共にすがすがしくなり、仕事に対する集中力が増し、勤務先に感謝となります。
◆ 就業規則に禁煙を明記
喫煙は本人の嗜好であり、禁煙を強制するものではないと言う従業員もいます。
しかし、勤務時間中を禁煙にすることは、違法ではありません。
「使用者は、企業秩序を遵守する義務があり、労働者は、労働時間中は職務に専念し、使用者の指揮に従わなければならない」と言う労働契約上の職務専念義務があります。
つまり、喫煙者が喫煙のため離席することは義務違反なのです。
しかしこれが理解されていない部分もあり、労働者同士のトラブルを未然に防止するため、就業規則に「勤務中は禁煙です」と明記しておくべきでしょう。
更には、喫煙する人としない人とで不公平感があり、喫煙者が喫煙から戻ってきた際のたばこ臭も非喫煙者労働者に苦痛を与えていることもあります。
今一度、就業規則の内容を確認し、検討されてはいかがでしょうか。
編集後記
健康経営が重要となりつつある昨今、この禁煙問題が企業にとって難題とも言われます。
禁煙達成企業を参考に学び、健康経営による業績アップに結びつけることを願っています。
もし経営者自身が喫煙者であれば、この際、自身が卒煙者となっていただければ、企業が変わる気がするのです。
(文責:経営士 三品富義)