仕事や作業の属人化は危険である
2023/7/18配信
「続・コンサルの現場 No.32」
企業内においてその人しか分からない仕事の属人化について考えます。
仕事や作業の属人化は危険である
◆ A社の属人化の事例
A社はメーカーの子会社で、ある時、物流システムをそのメーカーと連携することになりました。
しかし、それはこれまでと一新した物流システムです。
そこで、A社長は若い人に学んでいただくように、B課長と相談しその部下であるC主任を新システム研修に行かせました。
その後、A社はメーカー指示によりその新システム導入の運びとなり、C主任を中心に新システムを稼働しはじめたのです。
ところが、C主任が、その新システムについてB課長や他従業員に十分な説明をしていませんでした。
本来、担当のB課長が新物流システムについて、その関係者に共通のナレッジとして事前説明会を開くべきだったかと思います。
その結果、B課長や従業員が新システムで間違えた操作をすると、C主任は自分が説明不足とわかっていてもそれについてその度に罵倒するようになっていったのです。
B課長が、C主任に不明な点を聞き出そうとしても教えてくれません。
つまり、この新システムを、C主任が属人化してしまったのです。
◆ 企業の属人化の危険性
このC主任のように、企業にとって属人化すると大変危険なことになるのです。
もし万一、C主任が急に退職したり、いなくなったりしたらどうなりますか。
恐らく物流システムが止まり、企業として取引先に迷惑をかけることになるのです。
また、C主任が罵倒するようになったため、企業内の雰囲気もよくありません。
皆様の企業において今回のような事例はありませんか。
他の事例では、機械の保守点検や稼働については、ある人しか出来ないとか、事務のオペレートは1人しかできないなどがあげられます。
このように属人化してしまうと企業にとってマイナス要因となるわけです。
経営者は、あらためてそれぞれの作業や仕事について属人化されていないか総点検する必要があります。
◆ 属人化を無くし、多能化による組織体制を構築
企業において属人化の解消として、多能力化を図ることが重要となります。
ある作業や仕事について必ず2人以上、または多数の人ができるようにするのです。
しかもその作業や仕事は、長く携わっていませんと、やり方を忘れてしまいます。
そうすると、再稼働に時間を要しアウトプットが遅れてしまうのです。
これには、仕事や作業のマニュアルを作成し、計画的に人員交替するシステムが必要です。
この多能力化は、人員配置などに柔軟な対応ができることに繋がります。
また、従業員間の双方の仕事理解にも結び付き、それが社内コミュニケーション向上になるのです。
経営者は、多能化による組織体制をBCP(事業継続計画)も考慮に入れ、構築するべきです。
編集後記
属人化している人は、この企業にて自分しか知らないと、優越感をもっている方が時々います。
しかし企業にとってその人がいなくなれば、事業継続ができなくなる可能性があり、大きなリスクになるのです。
企業のBCP策定時には、各プロセスにおいて、属人化の有無リストを上げておくことが肝心となります。
(文責:経営士 三品富義)