次の一手を考える
2023/9/26配信
「儲かる会社になるヒント No.35」
テーマは「次の一手を考える」です。
経営というのは難しいものです。
経営者は、なんとなく不安を感じています。
順調な時でも、「このままでいいのか」といった思いに駆られるようです。
ですから、いつも「次の手」を考えています。
そんな経営者のことをご紹介しましょう。
次の一手を考える
◆ 3つの質問
コロナの収束には、まだまだ時間がかかりそうです。
社会の変化を前にして、いろいろとお考えのことでしょう。
そんな中、業績の好調な中小企業の経営者と話をしました。
彼は、「事業が順調なのは良いのだが、どうも次の一手が分からない」と言われます。
どういうことなのでしょうか。
この経営者にとって「次の一手」とは、どんな商品を売るとか、どんな売り方をするとかという、目先のことではないようです。
もっと深いことに考えが及んでいる気がします。
そこで、「次の一手」を考えるために、「何のために事業をしているでしょうか」という質問をしてみました。
経営者は「お客様に喜んでもらうため」「従業員が幸せになるため」とお答えになります。
良い答えですね。
次に、「では、事業で何を達成したいのですか?」「社会にどんな貢献をしたいのですか?」と尋ねてみました。
すると、返答に詰まってしまいます。ここが問題です。
◆ 質問の意味
実は、この3つの質問で尋ねられたのは、お店の「理念」についてだということにお気づきでしょうか。
つまり、「お客様や家族、従業員にとって、どのような会社でありたいのか」、「事業を通じて、社会に対してどのような貢献をし、どんな目標を達成したいのか」ということが、尋ねられています。
この問に対する答えがあれば、会社の「理念」が明確になっている証拠です。
そして、「理念」が明確であれば、「次の一手」はそこから考えられます。
しかし、こうした「理念」をしっかりと持っていない中小企業は多いのではないでしょうか。
これには理由があります。
それは、事業を始めたとき、「理念」などということを考えて始めたわけではないからです。
ほとんどの経営者が、まずは生計のために事業を始めています。
たまたま、その事業が好きだからという理由で、会社を始められています。
もちろん、成長拡大したいという「思い」はあったでしょう。
しかし、将来どんな会社になりたいとか、どんな「存在意義」のある会社になりたいとか、どのように地域のためになる会社になるとか、そんなことを考えていたわけではありません。
「理念」など無くても、ちゃんと事業がして行けたのです。
お客様にも喜んでもらえました。「理念」を持つ必要がありませんでした。
◆ 次の一手は・・・
しかし、やがて時代は変わって来て、以前ほど商品が売れなくなってきました。
消費者の「買い方」もさまざまです。
そこへきて今回のコロナで、この先がよく見えません。
先の経営者のように、心配になるのは当然です。
そこで、明言をします。
「理念をしっかりと持つこと」、これが「次の一手」です。
今こそ「理念」を明確にして、社員全員で共有しましょう。
そうすれば理念を中心に会社の運営ができます。
今まで、多くの中小企業が持っていなかった「理念」は、事業をするうえで、最強の武器です。
それに気がついた会社こそが、今の「壁」を破れます。
そして、「次の一手」は「最初の一手」でもありました。
編集後記
その後、この会社は「理念」を言葉にし、事務所に掲げるようになりました。
次々と、具体的な手を打ち出していきます。
業績も順調です。
それでも、経営者はまだ何となく不安な様子。
今度は、後継者のことが悩みのようです。
(文責:経営士 梅本泰則)