中小企業における組織運営の留意点
2023/10/10配信
「続・コンサルの現場 No.36」
中小企業における管理者の役目が明確にされていないと社内が混乱してしまうため、その組織運営の留意点のお話です。
中小企業における組織運営の留意点
◆ 営業係長から営業課長へ昇格
A社において今まで営業係長をしていたTさんが、辞令にて営業課長に昇格しました。
Tさんはその辞令を受け、昇格できた喜びで、意気揚々でした。
しかし、営業課長のTさんは、課長職とは何をしていけばよいのか分からないことが多々あったようです。
それでも、今までの自分のスキルを活かし、何とか身を粉にして働きつづけていました。
ところが、売上計画や営業戦略の作成、部下の管理、取引先の訪問など、今まで以上に多事多難となっていったのです。
Tさんは責任感が強く、帰宅は、毎日夜12時過ぎとなりました。
しかも、管理職とのことで残業手当は付かないのです。
Tさんは、管理職は残業手当も無いし、何故これほど働かなければならないかと疑問に思いだしてきました。
そして、3ヶ月たった頃には、もう身体もふらふらで部長の指示も受け入れられず、鬱状態になっていったのです。
さらに、その本人は、朝起きると会社に行きたくないと思うようになりました。
ついには風邪をこじらせ、出社できなくなり、昇格後の半年で、退職届けを提出したのです。
◆ 昇格者への対応
本来、経営者は、組織構成をより良くするため、辞令を発します。
ですから、A社の経営者は、Tさんに営業課長として頑張って欲しく「新体制にて一丸となって頑張りましょう」と辞令を発したのです。
その際、経営者は、課長の職務や業務の役割や責任の範囲説明を明確に話し合いをしていませんでした。
また、Tさんも経営者とよく話あっておくべきだったかと思います。
このようなことは、一般的に、問題のない組織運営をしていくために、職務や業務内容を文書化しておく必要があるのです。
それは、職務記述書や業務記述書などであり、その内容について社内で検討し、取り決めておきます。
◆ 職務記述書と業務記述書などの文書化
職務記述書は、個人が担当する業務内容や必要なスキルなどを明確にするための書類であり、業務記述書は、部署単位での業務内容や権限、責任範囲などをまとめた書類です。
そして、これらの記述書の作成規程も必要であり、その定期見直しも必要となります。
さらに、気を付けなければならないのは、組織運営としての各部署や各部門に対しての役割や業務範囲を文書化しておくことです。
これらを組織運営にて取り決めておきませんと、「その仕事は私の部署ではない」など部門間で軋轢や混乱が生じるリスクがあります。
これらは組織を統制するために、最近では必須項目となっているのです。
これらの取り決めや文書化は、一般的なフォーマットがあり、それを参考に作成されることをお勧めいたします。
編集後記
今回の件、組織運営に問題があり、自社が従業員満足できる体制なのか、検討しておく必要があります。
そして、これらの組織の問題点が、最近の人手不足問題につながる要因の可能性があるのです。
改めて問題点を洗い出し、対策していただければと思います。
(文責:経営士 三品富義)